ダブルターゲット施策も実行
保護者の流れだけでなく、子供の流れも重要。つまりダブルターゲットを捉えた施策も必要になる。そこで、従来から運営する教育情報サイトのみならず、バンダイナムコゲームスと共同運営で「サークルリンク」を2010年1月に開設。会員数は40万人に上る。

ベネッセが社会性・協調性を育むスキルを提供し、バンダイが「たまごっち」などの玩具による楽しさを提供し、安全安心な小学生を応援するナンバーワンサイトを目指している。同様に、中高生向けに、知っている友達とだけつながるケータイスケジュール帳が特徴の「Cal-fee」を提供中だ。このように各世代の子供の特性をよく理解した施策作りにも成功している。

ツイッターを活用して行った「子供がいて良かった」キャンペーンでは、母親のみならず父親の参加も多く得られた。これは同社としても予想外の反応で、新たな顧客との接点になったという。また、子供がいる生活の豊かさを社内外で再認識するきかっけにもなったという。

ベネッセのWebサイトの価値は350億円
では実際、各Webサイトや施策はどれくらいの価値があるのか。これを客観的に検証するために、どれだけ購買があったか、という広告収入を含めた売り上げ数値を追っているという。また、見込み顧客が取り込めた際の将来利益という視点でも検証している。
このように緻密なネット戦略に基づいて、多数のWebサイトを運営するベネッセへの第三者からの評価は高い。日本ブランド研究所によれば、ベネッセのサイト価値は350億円、全産業を対象にしている中で13位と健闘している。
また、週刊ダイヤモンド9月4日号で掲載されたブランド価値でも、ベネッセの昨年の順位は10位だった。豊岡氏は高評価の理由をこう分析したという。「ベネッセには社員のための社員が運営する社員のウェブ講座が11講座あり、延べ800人が参加する。まさにこれが底力になっているのではないか」
ベネッセのネット戦略は成功事例として、社内外から熱い視線が注がれているのだ。