「競合と思っていた企業が競合ではなかった」 分析を始めて見えてきた実態
属性別の嗜好を分析する試みに関しては、自社のメンバーズカード会員に対するアンケート調査を中心に、次のような分析を行っているという。
- 会員ランク別に見ると、どのような傾向があるのか
- 顧客の属性別に見ると、どのような傾向があるのか
- 一般消費者へのアンケート結果との比較
まだまだ本格的な分析は始めたばかりだというが、既にいくつかの知見も得られてきている。例えば、同社の主な出店場所であるショッピングセンター内における競合企業もその1つだ。同社では、アンケート調査内で「ライトオンが好きかどうか」と「他に好きなブランドは?」という質問項目の結果を、見える化エンジンを利用して掛け合わせて分析。すると「ライトオンが好きだ」と答えたユーザーの回答からは、ショッピングセンター系の出店ブランドでライバルの1つとして想定していたブランド名がほとんど出てこなかったという。自社内では競合だと考えていた企業が、顧客から実は競合ではなかったというわけだ。
その他にも、「見える化エンジン」導入の効果として、梅田氏は次のような点を挙げる。
「『好きなブランド』と『その理由』に関する質問を顧客属性別に調べたところ、ライトオンを使ったことのない方は『上品さ』などのイメージで、ライトオンを使ってくださっているお客様は『着心地』などの感覚を理由として挙げていることが分かりました。感覚的には理解できていた部分ではありますが、あらためて『やっぱりそうだったんだ』という気づきがあったことは大きいですね」
データ分析の効果としては、データから思わぬ知見が得られるという点もある。しかし、仮説を持ってデータを集め、検証していくことで、感覚的だったものを数値的にしっかり把握できるようになるというのも見逃せないポイントだ。予想どおりであれば深掘りし、反していれば、新たな仮説を立てPDCAを回していく。そうした体制が取れるようになるのもツール導入の効能と言えるだろう。
こうした知見の獲得に一役買っているのが、見える化エンジンの特徴である感覚的に分かるビジュアルだ。分析は明確な答えがあるものではないため、“使う人が結果をもとに『気づき』を得て、さらに深く探れるようにする”、という同ツールのコンセプトを「数字の羅列や一覧で見えるだけでは分かり辛いが、単純に丸の大きさなどでパッと判断でき、使いやすい」と梅田氏は高く評価する。
見える化エンジンで得た様々な知見をもとに、ライトオンでは販促用のチラシや会員に向けたメールマガジンなどで、徐々に改善施策に取り組んでいる。メールマガジンでは、男性社会人向けと男子学生向けといった顧客属性別にクリエイティブを変えるなど、よりきめ細やかな対応を行なったことで、少しずつ成果につながりつつある。今後、Webサイトにアンケートフォームを設け、より調査の頻度を上げる計画もあるという。