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データドリブン視点のサイトリニューアル実践法

ECサイトにおける顧客マネジメント─ データドリブン視点のサイトリニューアル実践法 第6回


顧客の購買行動と実施施策とのギャップを掴む

 前述した分析により、可視化された顧客の購買行動と現在行っている施策を照らし合わせるといろいろな課題が見えてきます。代表的な課題は、

  • 優先度の高い顧客層に対して効果的と思われるアクションを何も起こせていない
  • 施策は実施しているが、施策内容と顧客の購買行動の間に大きなギャップが生じている

 の2つです。

 1つ目の「優先度の高い顧客層に対して効果的と思われるアクションを何も起こせていない」については、顧客分析ができていないことが最も大きな原因と考えられます。

 2つ目の「施策を実施しているが、施策内容と顧客の購買行動の間に大きなギャップが生じている」については、ある程度顧客層は見えているが、具体的な購買行動の傾向までが掴めていないケースが大半を占めます。

 また施策を考える際に、自社顧客のデータに基づいた施策ではなく、「他社が行っている手法のマネをしていた」や「以前からずっとこのような施策を行っており、見直すきっかけがなかった」など施策を考える際のプロセスに原因がある企業様が多いようです。

 またそれ以外にも、顧客の行動を可視化することによって

  • 初回購入後も何回も広告経由で来訪している
  • 購入後サイトに訪問していない

 など、今まで見えていなかった課題が表面化されるため、コストの効率化や売上増加に向けたアクションが起こしやすくなります。

顧客育成における施策立案やKPI設定を行う

 顧客の購買行動が可視化された後は、その顧客に「どのようになってもらいたいのか」という目標(ゴール)を設定します。

 そうすると、「現状」⇒「目標」が明確になるので、目標に向かうにはどんな方法が効果を生みそうかのブレストを行い、考えられる施策を一度洗い出します。

 その後は、各施策に対するリソース・コストなどの観点から短期的に実施できるもの、長期的な取り組みが必要なものを整理し、販促計画内にスケジュールを設定して、具体的な施策に落とし込んでいきます。

 その際に重要となるのが、施策を実施した際にその施策が効いたのか、効いていないのかを検証するためのKPIの設定です。ここで必要なKPIは2種類あり、各施策の効果を検証する短期的なKPIとその顧客が成長しているのか(=設定した目標に向かっているのか)検証する長期的なKPIを設定する必要があります。

 短期的なKPIは各施策を行った際に、どの数値がどう変化すれば施策の良し悪しを判断できるのか? という各施策ベースで設定します。このKPIを各施策実施後に検証し、何度か繰り返しても効果が見えない施策においては見直しを図ります。

 長期的なKPIでは4半期に1回程度のサイクルで観測し、各施策によって顧客が成長しているのかを検証します。その際に観測する項目は、施策対象である特定顧客層におけるリピーター化率や休眠化率、1人あたりの購入回数や金額などです。

 このような2つのKPI設定とPDCAサイクルの構築ができれば、リピーター率の向上やアクティブ会員の増加が見込め、結果的に売上増加だけではなくROIの向上を図ることができるでしょう。

 以上のように、ECサイト運営の最適化には様々なデータを活用したマーケティング手法がありますが、今後ECサイトが成熟するにつれて顧客育成(CRM施策)における取り組みはさらに重要になってきます。

 特にECサイトでは、リアル店舗よりも取得できるデータが多いため、「どのデータをどのように分析し、その後どのようなアクションを起こしていくのか」がROIの向上を図る際のキーポイントになってくるでしょう。

まとめ

 もし現時点で、自社の顧客における代表的な購買行動のパターン(データに基づいた)を掴めていない場合は、まずは顧客分析を行って購買行動が似通った顧客をグルーピング化することをお勧めします。

 顧客をグルーピング化すると、「顧客の購買行動の特徴」だけではなく「自社の大切な顧客」や「実施している施策と購買行動とのギャップ」などが見え、顧客を軸としたマネジメントの出発点になります。

 また、ある程度顧客を軸としたマネジメントが社内に浸透してくると、「この顧客層にはこんな商品を提案するべきではないか」などの品揃えについての課題が見え始め、各顧客グループのニーズや好みに合った商品提案を心がけるようになってくるでしょう。

 そこが顧客を軸としたマネジメント(CRM)の最終的なゴールになります。それはECサイトと顧客との関係は商品によって成り立っているからであり、商品構成を改善することが最も顧客の購買行動に影響を与えやすく、且つ売上に対するインパクトが大きいからです。

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この記事の著者

株式会社アイ・エム・ジェイ / Marketing & Technology Labs(カブシキガイシャアイ・エム・ジェイ マーケティングアンドテクノロジーラボ)

株式会社アイ・エム・ジェイのMarketing & Technology Labs(以下、MTL)は、IMJグループにおいてData Driven Marketingの実現を通じて、クライアント企業のデジタルマーケティングを支援するマーケティング・サービス・プロバイダー(MSP)です。

データプラットフォーム設計やマーケティングROI最大化のための最適化コンサルティングサービスを提供します。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/26 14:54 https://markezine.jp/article/detail/14994

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