「セカンドスクリーン」が新たなお茶の間テレビを実現
視聴者の多メディア利用が進むと、テレビ視聴のあり方も変化する。昨今では、スマートフォンなどを片手にSNSで共有しながらテレビを見る「セカンドスクリーン」と呼ばれる視聴形態が普及しつつある。
「SNSを利用しながらテレビを楽しむのは、昭和時代のお茶の間テレビの感覚に近い。時代とともに手法は変わっても、テレビをネタに盛り上がるという根本部分はそう大きく変わらない。昨今のWebサービスはテレビとの親和性が非常に高いのです」
実際にSNSとの連携は積極的で、「日本でTwitterが普及しはじめた時期に早々と完全連動の番組を放映したり、テレビ局で最も早く番組のFacebookページを立ち上げています。今後はより進んだ施策も検討しています」

またSNS以外にも、動画配信サービスのGyaO!に出資しコンテンツ提供や番組プロモーションを行ったり、DeNA社のモバゲータウンと協業で広告ビジネスを展開するなど、他社サービスとの連携はテレビ業界で最も先んじて進められている。
視聴者とのつながりを重視し、次世代の番組視聴モデルを提案
テレビと既存サービスの連携にとどまらず、番組そのものの新しい視聴形態の提案も積極的に仕掛ける。
「新組織のメディアクリエイション部がその役割を担います。個々の番組に企画段階から関わり、社内外のさまざまなメディアやツールを組み合わせて、リアルタイムの放送にとどまらず、視聴者接点を広げることを目的としています」
例えば朝番組の『ZIP!』では、視聴者の行動導線に合わせたメディアデザインを行っている。
「番組視聴後の通勤時間中に引き続き番組の情報が得られるよう、番組コンテンツやニュースなどをスマートフォンで配信しています。また、『ZIP!』データ放送のスタンプラリーには毎日数十万人が参加し、視聴習慣の定着化が促進されています」
http://www.ntv.co.jp/zip/data/index.html

ほかにも、『世界の果てまでイッテQ!』で放映するVTRを視聴者によるリアルタイム投票によって選んだり、サッカーの試合ではソーシャルメディアの盛り上がりをグラフ化し表示するなど、さまざまな番組で多様なツールを使った展開を仕掛けている。
「番組への参加感や共有感を醸成するような施策が中心ですね。意図した施策ではありませんが、『金曜ロードショー』で放送した『天空の城ラピュタ』で、主人公が滅びの呪文『バルス』を言った瞬間、Twitterでのつぶやきが1秒間に25,000tweetを超え、世界記録となりました。視聴者とのつながりを重視した企画は、テレビ画面以外のユーザー接点を確実に広げます」