ファンとアーティストへの還元がマーケットを変える
最後に、音楽ビジネスで忘れてはならない視点は、「アーティストへの還元」だ。今のCDセールスは、付録や仕掛けが先行し、純粋に音楽だけで勝負したい新人アーティストへのチャンスが少なくなってきているという。
だが梶氏は、この状況を悲観するのでなくチャンスと見ている。梶氏の理想は、音楽そのものへの対価が支払われ、そこからさらに良い音楽を生み出すというサイクルが回る、新しい仕組みを作ることだ。

プロモーション&デジタルマーケティング本部
デジタルマーケティング部 部長 梶 望氏
音楽ビジネスの主役は、作品を買って支えるファンと音楽を作るアーティストの2者なのだ。梶氏は、その2者にだけは「不義理を働いちゃいけない」という。回りまわって、その意識の有無がキャンペーンやビジネスの成否を分けるという。
「ビジネス色が強くても、それを喜んでくれるファンが多いのであれば、まだ不義理ではないんです。しかし、完全な一方通行になってしまって、当事者もダマした/ダマされたと感じるようだと、本当に炎上してしまう。アーティストもファンも気持ちよく楽しく、バランスよく回していくことが重要です」