優先すべきはオウンドメディア 自ずとソーシャルメディア活用も見えてくる
――企業規模問わず、ソーシャルメディアは活発です。どちらに注力すべきでしょう?
福山:僕はオウンドメディアだと考えます。とはいえ、使うプラットフォームや切り出し方は違っても、大本のコンテンツは同じです。オウンドメディアで自社のコンテンツを突き詰めていくと、自ずとソーシャルメディアでのやり方も見えてくる。どちらかを選ぶなら、まずはオウンドメディアを優先して進めたほうが、やりやすいと思いますね。
後藤:定義はさまざまですが、ソーシャルメディアの中でも、Facebookで展開されるコンテンツは、オウンドメディアの一部だと言えます。企業がどうコミュニケーションしていくのかを考えた時、基本となるのが「コンテンツ」です。いいコンテンツはユーザーが勝手に広げてくれます。それを企業がコントロールすることはできない。ですから、オウンドメディアに注力するという地に足のついた戦略への転換になるわけです。
福山:自社について知り尽くし、考え抜いたコンテンツでないと、浅いコミュニケーションになってしまいますね。
――ユーザーと向き合い、自社ならではのコンテンツを掘り下げる作業が必要だということですね。どの企業にもコンテンツはあるものでしょうか。
福山:はい、絶対にあります。ないというならそれは、「企業としての競争優位点がない」と言っているようなものです。もしくは、自社についてよく知ろうとしていないか。
後藤:本来、コーポレートサイトは、デザイン等でなく本質的なコンテンツで差別化するべきです。カタログサイトではそういった表面的な差別化があったのですが、わざわざ検索してたどりつくユーザーは、デザインを見にきているわけではありませんから。

――読者へのメッセージをお願いします。
後藤:オウンドメディアの概念は、特に新しいものではありません。重要性が見直された背景には、ネットの変化、それを受けた生活者の変化があります。企業がどう対応するか、そのゴールがオウンドメディアです。カタログサイトとオウンドメディアの違いはコンテンツで、そのヒントが既存のコーポレートサイトにあります。これを機に、ぜひ自社のWebメディアの価値を見直していただきたいと思います。
福山:最近、企業のWeb担当者が目先のことで精一杯なようです。ソーシャルメディアもスマートフォン対応も重要ですが、それはあくまで手段であって、目的ではありません。しかし、新しい技術に対応するのはなかなかたいへんで、立ち上げただけで燃焼してしまっている。でも、本当は作ってからがスタートなんです。
繰り返しになりますが、オウンドメディアで重要なのはコンテンツです。その要素は多くの企業がすでに持っていて、修正を加えるだけで読んでもらえるものになりうる。難しいことではありません。それを地道にやっていくことで、自社サイトの「資産価値」が上がっていきます。ユーザーにどう感じて欲しいか、ビジネスの成果として何を持ち帰りたいか、目的が明確ならやるべきことは見えてくるはずです。
――ありがとうございました。

[目次]
第1章 生活者を知る
第2章 オウンドメディアコミュニケーション戦略を考える
第3章 オウンドメディア構築のノウハウ
第4章 オウンドメディアを支えるシステム
第5章 オウンドメディアの持続的価値向上を目指して
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