自販機のようなWebサイトになっていませんか?

上記のキャプチャ―は、おなじみのアマゾンのトップページです。アマゾンにかぎらず、Webサイトというものは大体アクセスすると「情報はここにあります。どうぞ御覧ください」という感じのトップページが待ち構えています。あえてこれをリアルな世界に置き換えるとこのようなイメージでしょうか。

「自動販売機」です。道にひっそりとたたずんでいる自動販売機ですね。Webサイトと自販機の共通点はたくさんあります。来訪したユーザに満足してもらうために商品ラインアップを増やす、ユーザに応じて自動的に商品が変わるようにする、ボタンを並べ替えて買いやすくする、といった様々なアプローチの工夫があげられます。基本的に自販機(Webサイト)のアプローチは効率化・最適化です。特にWebではデータが豊富に得られるので、このようなアプローチは有効に機能します。
このような自販機のようなアプローチにユーザ視点がないというわけではありません。しかしながら、「コンバージョン率」といった指標ありきでユーザを眺めているWebサイトが多いように感じています。
そこで、このようなWebサイトをリアル店舗として考えてみましょう。こういうお店があった場合に、果たしてユーザーはまた来たいと思うでしょうか?用は足せるし、便利で安いかもしれません。ただユーザが求めているものは必ずしもそれだけではないはずです。

リアル店舗であれば、お店には店員さんがいます。そこには「接客」という行為があります。接客の最終目的も「お客さんに商品を買ってもらうこと」なので、その点では自販機のようなWebサイトとゴールは同じです。ただし、その両者ではアプローチの仕方が大きく異なってくるのです。
ユーザーに満足してもらうという視点
リアル店舗における接客のアプローチは、まずユーザーありきです。目の前のユーザーに喜んでもらうこと、即ちユーザーの来訪体験をより良いものにすることが一番です。つまり、購買に至るのはあくまで結果ということです。(そうでない接客ももちろん存在していますが、ここでは対比を明らかにするためにあえて言い切ります。)お店に来たユーザーが満足すれば、その結果としてリピーターになったり、さらにクチコミをしてくれるかもしれません。
筆者はWebマーケティングの課題が、まずはここにあると考えています。実際、ユーザ来訪後の施策を並べてみると「レコメンド」「ページUI改善」「ページ更新頻度向上」「ページ応答速度改善」「LPO」「EFO」「メールマガジン」「金銭的インセンティブ付与」……概ねこんなところでしょうか。いずれも基本的にはコンバージョン志向であり、サイトに来てくれたユーザーに対しておもてなしをするという感覚はなく、とても機械的な対応です。