コンテンツを見るか否か、それは消費者が決める
もうひとつは、この時代の、ブランド・メッセージと消費者の関わり方の変化(質的側面)です。
たとえば、自社Webサイト上のコンテンツと、従来のいわゆる広告との違いについて、考えてみましょう。自社Webサイトの、メディアとしての特徴は、どんなことでしょうか?
メディアとしての自社Webサイトは、1点を除いては、ブランド・メッセージを伝えるものとして完璧な媒体です。そこには、時間的空間的制約はなく、制作費を除けば、媒体費の制約もありません。では、完璧ではないただ1点とは、何でしょう?それは、たとえどれだけ有意義な情報であろうとも、誰も消費者まで運んでくれない、ということです。テレビやラジオの電波のように、もしくは新聞の配達員のように、誰も家庭まで届けてくれません。

Webサイトを訪れてそのコンテンツを見るかどうかは、消費者の手にまさしく握られています。自らクリックしなければ、彼らはけっしてやって来てくれません。新聞広告・雑誌広告やテレビCM・ラジオCMは、広告が自然に目に入ってくるメディアです。それに対して自社Webサイトは(そして多くのネット上のコンテンツは)、「見に来てもらう」メディアです。
ブランド・メッセージはコンテンツにならざるを得ない
さらに、従来の広告メディアと自社Webサイトが、決定的に異なる点があります。人々は、有用だったり楽しませてくれたりする番組や記事を見るために、テレビを見たり新聞を読みます。広告はメディア費を払って、そこに載せてもらう(便乗させてもらう)わけです。

ところが、自社Webサイトには、魅力的な番組や記事があらかじめ存在しているわけではありません。そこに置かれているコンテンツ自身に魅力がなければ、消費者はクリックを繰り返し、何かを打ち込むという面倒なことをしてまで、わざわざ「見に来て」は、くれません。
だから、自社Webサイトなどネット上を主な舞台とするブランド・メッセージは、テレビ番組や新聞記事と同じ意味合いでの“コンテンツ”にならざるを得ないのです。ここに、ブランデッド・コンテンツが隆盛する背景があります。