海外の動画広告最新事例紹介
これまでも日本において動画広告市場への注目が集まっていたが、2013年からは急速に動画広告市場が活性化してきたという。様々な業界の日本を代表する大手企業が、動画広告に積極的に乗り出そうとしている。しかし、『目が肥えている』日本のコンシューマーに対して、どのような動画広告が効果的なのか。そのヒントとして、ローズ氏は海外の動画広告最新事例を提示する。
1)AD selector
アドセレクター、言い換えると「選べる広告」である。コンテンツ再生時に、2~3種類のオプションが表示され、ユーザーは自分が見たい広告を選択することができる。また、いずれも選択しなかった場合は、その他の動画広告が自動再生される。
ニュージーランド国営放送局TVNZの「キャッチアップTV」では、ユーザーは2種のプリロール動画広告から自分が見たいものを選択。この場合、競合他社の類似製品の広告を並べるのではなく、同一企業の別ブランド製品の広告を並べるのがよいという。このプレミアムな広告枠は、通常より35%高く広告費を設定することができ、TVNZはより高い収益を上げることができた。
2)AD on pose
アドオンポーズは、長編動画を閲覧中に一時停止すると、静止画または広告がポップアップで出てくる仕組み。ユーザーにストレスを与えることなく、広告配信が可能になる。
3)AD hover
画面上の画像にカーソルを置くと、動画や画像が浮かび上がる仕組みをアドホーバーという。BMWは、AD hoverを活用し、車のエンジンの仕様が見えるコンテンツ施策を実行した。その結果、36%のユーザがページ上で平均2分間に渡って何らかのアクションを起こし、自社サイトへのクリック率が2%向上したという。
4)QRコード連携によるドラマ配信
韓国ロッテは、同社の栄養ドリンクに毎週異なるQRコードを記載し、モバイルでスキャンすると1分間の動画を見られるプロモーションを行った。動画は10週分10回連載で配信され、当時テレビドラマに出演していた男女の俳優を起用した恋愛ドラマになっている。ドラマ人気もあって閲覧数が増加し、商品そのものの売上が向上。逆に商品からテレビドラマへの誘導にも成功した。
動画広告の魅力は効果を見える化できること
動画広告の特徴を「広告と思わせないエンターテイメント」とローズ氏は語る。そして、その高い訴求力に加えて、効果を測定できることも動画広告の魅力の一つだ。同社の 『Video Cloud』 では、いつ、どのデバイスで、どの程度ユーザーに視聴されたか、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアに投稿したか、どこでどのように一時停止を押したのかなど、様々な事項について事細かく測定・分析することができる。もちろん、特定の属性の人にのみ広告を配信するターゲティングも可能だ。
ターゲティングによって精度を高め、効果を「見える化」することで、広告主はPDCAサイクルを回しながら、計画的に自信をもって広告を出せるようになる。事実、2013年の米国のディスプレイ広告支出において、動画広告が占める割合は23.4%であったが、2015年にはさらに30.2%へと伸長する見込みだ。このような傾向からも、動画広告の効果に対する信頼や期待が高まっていることを読み取れる。