SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

イベントレポート

海外勢に日本も負けられない!最先端マーケテクノロジー企業5社が集った「Tech-InnovationNight」潜入レポート


プライベートマーケットプレイスの構築

株式会社mediba 広告事業本部 ADG事業部 部長
大野祐輔氏

 medibaからは、広告事業本部 ADG事業部 部長の大野祐輔氏が登壇。昨年、スケールアウトと合体した同社は、DSP、DMP、SSPの3つのアドプラットフォームを提供している。それらのアドプラットフォームを1つのシステムで構築し、データをDMPに蓄積していることが大きな特徴だ。「今日紹介したいのは、SSPの『Ad Generation(アドジェネレーション)』」と大野氏は切り出す。(関連ニュースはこちら

 スマートフォンメディアの広告マネタイズサービスである「Ad Generation」の特徴は、サプライサイドから価値のある情報を提供し、メディアの広告収益最大化を支援する点だ。

 具体的には、RTB取引においてオーディエンスデータを広告主へ提供し、ターゲティングの配信を増やすことでメディアの収益を向上させる。広告主は、ターゲティングデータが増えることで、広告効果を向上させることができる。「ターゲティング配信の問題点は、ボリュームが出にくいところ。Ad Generationは、メディアだけでなく広告主にもメリットのあるSSP」と大野氏は語る。

 また大野氏は「約半年運営してきて、いくつか課題がみえてきた」と指摘。Ad Generationは、広告のリクエストが来た時に、まずRTBオークションにかけて、それで取引が成立すれば落札。成立しない場合はメディエーションで、最も収益性の高いアドネットワークに優先配信する。アドネットワークのeCPM(effective Cost Per Mill/広告1,000表示orアクセス1,000PVあたりの収益額)を毎時間算出して、その枠のフロアプライス(最低価格)に設定し、RTBオークションにかける仕組みをとっている。

 「このやり方だと、同じ枠でもimpの価値を均一にすると機会ロスが発生するケースが出てきた」と大野氏。言い換えると、純広的な広告配信や、買い切り優先配信等を、このロジックで行うと損をするケースがでてくるのだ。この課題を解決するために、DSPとSSPで特定取引だけ優先配信できるプライベートマーケットプレイスの構築に取り組んでいるという。

 「これが実現すれば、純広サーバーが無くせるかもしれない。そうなれば純広サーバーのコストを抑えることもできるし、RTBでの収益をさらに増やすことができる。加えて、特定条件のimp買い切りを効率化できる。最も期待できる点は、ただの純広サーバーと異なり、DSPとつながっているので、純広だけれどもDSPの機能を使って、多彩なターゲティングができることだ」(大野氏)

「Software Is Eating The World」

株式会社フリークアウト 取締役 COO
佐藤裕介氏

 そして最後に登壇したのは、株式会社フリークアウト 取締役 COOの佐藤裕介氏。同社は2010年10月に設立。DSPの開発・販売や、プラットフォームソリューション事業として代理店向けにDSPシステムのOEM提供も行っている。

 今日のイベントは“テックイノベーションナイト”と銘打っていることもあり、佐藤氏はマーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)氏の「Software Is Eating The World」という言葉を提示する。

 これは、IT業界に限らずソフトウェアは、あらゆる産業・あらゆるビジネスの工程に進出しており、もはやソフトウェアはIT業界だけのものではなく、全産業・全ビジネスに関わる、あらゆる世界の領域を侵食している、という意味だ。

 オンライン広告市場は順調に伸長している。当然、その裏側では、ソフトウェアが動いている。 Goldman Sachsが発表した予測では、2013年から2016年の4年間はCAGR(年平均成長率)が9%と、過去4年間の5%と比較して倍近く成長が加速するとされている。

 「その成長に最も寄与するのが、プログラマティックの世界だ。日本のRTB市場は、2011年には0円のマーケットであったが、今では急拡大を続け、いわゆるディスプレイ広告のマーケットを侵食している。そして、前のセッションで簗島氏が触れたように、データを整理・活用する領域にも、ソフトウェアエンジニアリングが急速に入り込んでいる」(佐藤氏)

ステージの脇にはドラムセットが!
巨大なりらっくまぬいぐるみがあったり、素敵な会場でした◎

 同社は、2012年の春からDMP事業「Mother」に取り組んでいる。今日では20億ブラウザ分のデータを保持しており、日本国内では月間8,000~9,000万のアクティブブラウザのログを蓄積している。その膨大なデータの解析部分を担っているのが、先ほど登壇した簗島氏のIntimate Mergerだ。そして「データ活用の領域において、本質的に大事なポイントは何かをずっと考えていた」と佐藤氏は語る。

 「膨大なデータがあればいいわけではない。そこから何かしらの意味を見出して、解釈をして、実際にマーケティングに使えるものにする解析の部分が重要であるのと同時に、もっと重要なことがある。それがデータインターフェイス(データの接合部分)だ。

 DMPの器そのものはコモデティーで、競争力はない。データの市場において大事なのは、DMPにデータを溜めておくことではなく、解析領域に加えて、データ・インターフェイス領域をきちんと作り込み、データをインプットしやすく、またデータを活用するチャネルとつなげていくことだ。

 だからこそ、今後はデータ・インターフェイスの部分の強化を徹底的にやっていく。先ほど簗島氏が話したように、オーディエンスの価値を最大化できるチャネルから、優先順位をつけてつないでいき、DMP事業をより強化していく」と佐藤氏は展望を語り、締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
イベントレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/04/23 12:51 https://markezine.jp/article/detail/19743

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング