アドテクノロジーとグロースハックは不可分

須藤憲司氏
続いて、登壇したのはKAIZEN platform Co-founder & CEOの須藤憲司氏。同社は誰でも簡単にA/Bテストができるグロースハックツール「planBCD」を提供している。クライアントのアカウント数は600超。また、クラウドソーシングで約400名のグロースハッカーと繋がっており、世界15か国で利用されている。(関連記事はこちら)
「アドテクノロジーが進化している一方で、クライアントのウェブサイトは進化に乗り遅れている実情がある。アドテクノロジーと僕らがグロースハックと呼ぶウェブサイトの改善をつなげていきたい」と須藤氏は切り出した。
「planBCD」の実績としては、1回のA/Bテストで効果が出るのは約7割で、CVRは平均で53%改善、中央値では10%の効果が出ているという。その高い効果の理由を、須藤氏は「A/Bテストをやりたかったが、社内にエンジニアやデザイナーがいないため、これまではできなかった企業が多く使ってくれているから」と指摘する。
実際には、A/Bテストを通した改善は継続していく。ある外資系企業では半年間かけてCVRを35%改善した事例も。累積で効果が上がっていくため、その企業では約1.4倍ほどCVRが改善したという。「CVRが1.4倍改善したことで、CPAがかなり下がった結果、この企業では広告の全体予算が倍程度になった」と須藤氏は語る。
「A/Bテストも含め、ウェブサイトの改善方法はいろいろあるが、そのパフォーマンスが改善すると結果的に広告にかえってくることは証明されている。ウェブサイトを良くすること、すなわちグロースハックは、実際には広告と不可分だと考えている。
最近は『グロースハック=広告をなるべく使わずにユーザー数を伸ばす』という文脈で語られることが多いが、それではもったいないと思う。実際はアドテクノロジーとウェブサイトを改善する動きは必ずつながっており、それを実現できるプラットフォームを提供していきたい」(須藤氏)
メディアにとってのオーディエンスデータの価値

代表取締役 CEO
簗島亮次氏
Intimate Merger(インティメート・マージャー)は、2013年6月に設立した、フリークアウトとPreferred Infrastructureのジョイントベンチャー。“ビッグデータをお金に換える”をテーマに、ビッグデータの活用や利用環境の構築をミッションとしている。
同社の代表取締役 CEOの簗島(やなしま)亮次氏は、「今日はメディアの視点から、どうすればオーディエンスデータをリッチ化できるのか、活用できるのかを話していきたい」と切り出した。
そもそも、オーディエンスデータの価値とは何なのだろうか?「DSPにおけるオーディエンスデータの価値は、CPAやCPCが合うかどうかが観点になる」と簗島氏。しかしメディア側の視点で考えると、その定義は少し変わってくる。
「メディア視点でのオーディエンスデータの価値は、例えば『広告収益/オーディエンス数=一人当たりのオーディエンス価値』で算出できる。さらに、メディアがDMPを導入すると、純広告だけでなく、DSPでの広告配信なども加算されるため、メディアに来訪するオーディエンスの一人当たりの価値を上げることにつながる。
メディアのオーディエンスの価値を上げるためには、いろんなチャネルでデータが使えるようにすればいい、すなわち、データの活用先を増やすのがポイント」と簗島氏は語る。もちろん無尽蔵に増やすのではなく、「オーディエンスの価値が最大化されそうなチャネルから、優先順位を決めてデータを連携していくべき」と指摘する。
同社のメディアとの取組事例として、デジタルガレージグループ各社が保有するビッグデータを活用した広告商品「BIG MINING」を簗島氏は取り上げる。(関連ニュースはこちら)
BI.Garageが提供を開始した「BIG MINING」だが、この裏側のエンジンを同社が提供している。この商品の目標は、いままで純広告のみでマネタイズしていた各メディアの情報を各種チャネルと連携することで、メディアを統合マーケティングツールに進化させることだという。
モデレータの菅原氏が「海外ではすでに進んでいるパブリッシャートレーディングデスク領域だが、実際に取り組んでみての課題は?」とたずねたところ、「現状はまだまだ課題が多い。例えば、オーディエンスデータを売ったことがある人はまだ少ないので、売り方を一緒に考えていくところから始めたり。そこから一緒に解決していきたい」と簗島氏は語った。