「Marketing Nation」というエコシステム
マルケトのもうひとつの特長が“Marketing Nation”だ。これは同社のサービスを取り巻くエコシステムで、顧客が実際に利用してきた結果から得られるベストプラクティスがある。さらに、4万人以上のユーザーコミュニティが活動しており、Marketoを活用するための経験豊富なコンサルタントも世界中に多数いる。また、Marketing Nation Summitというイベントも開催しており、今年4月にサンフランシスコで行われたサミットにはヒラリー・クリントン氏が登壇した。
もうひとつが「LaunchPoint」と呼ぶマーケットプレイスの存在だ。これには190社を超えるサードパーティー・パートナーが参加しており、Marketoのサービスだけでは足りない部分を開発し、Marketoプラットフォーム上で利用できるようにしている。このように自社だけでなく、ユーザー、パートナーを含むエコシステムができているのも同社の強味だ。

このMarketing Nationは、まだ日本で本格的に動き始めているわけではない。当面これを日本で補完することになるのが、日本法人に出資した電通マーケティングワンの存在だろう。
同社は、電通グループの中でデジタルマーケティングに特化した専門家集団だ。彼らはこれまでもマルケトを利用して日本でマーケティングオートメーションのソリューションを顧客に提供してきた実績がある。電通イーマーケティングワンが、まずは日本でマルケトを展開する実働部隊となり、その上で日本でのユーザーコミュニティやパートナーエコシステムの整備をしていくことになるだろう。このように電通イーマーケティングワンとのジョイントベンチャーの形でビジネスを展開できることは、日本市場においては優位に働きそうだ。
バックエンドとの連携が今後の課題に
ところでマルケトのサービスはデジタルマーケティングに必要なものを網羅しているが、バックエンドのERPやCRM、コールセンターなどの仕組みは持っていない。それらとどう連携させるかは、今後マルケトを導入する際に課題となるだろう。既存システムとの連携については海外ですでに実績があるはずなので、それらを参考にインテグレーションすることになる。そのためのAPIも公開されており、対象が自社開発システムであっても連携は難しくないとマルケトは言う。
ちなみにSalesforceのCRMとの連携は、ほぼワンクリックで実現できる。親和性はかなり高く、Salesforceとマルケトを組み合わせて利用している事例は多い。そのことが、前出のSalesforceユーザーからの高い評価にもつながっているのだろう。今後はSalesforceのExactTargetとどう連携させどう棲み分けするのか。Salesforceのユーザーは、この点は十分に考慮する必要がありそうだ。