見込み顧客の状態を踏まえたきめ細かなターゲティングで温度感を高める
マーケティングオートメーションツールを使えば、冒頭で紹介した「営業フォローを後回しにしてしまったリードのうちの実に8割が、2年以内に競合企業から製品を購入している(出典:Sirius Decisions)」という状況を回避できる。その時点では可能性が薄くとも、せっかく接触できたリードを取りこぼさない、つまり将来の顧客を失わずに済む。では、具体的にマーケティングオートメーションのプロセスを見てみよう。最初のステップは、ターゲティングだ。
モダン・マーケティングの第一歩になるのが、ターゲティング。すなわちターゲットを絞ることだ。それぞれの見込み顧客に最適なアプローチをするために、まずは精緻なターゲティングが重要になる。
まず、見込み顧客のオンラインでのさまざまな行動履歴を把握。発信したどのメールが開封されているか、どこに反応しているか、どのWebページを見ているか、などの情報を顧客の属性データと組み合わせてスコアリングし、セグメント化する。
当然、スコアリングとセグメントの精度が高いほど、その先へ続く顧客育成の成果は高まる。つまり、その精度の高いツールを選ぶことが重要になる。マーケティングオートメーションでは、ターゲティングし、キャンペーンを設計・実行して評価して、それを元にまたターゲティングするという一連の流れを繰り返して、きめ細かに顧客の“温度感”を高めていく。
顧客のデジタル・ボディ・ランゲージを読み取り、アプローチに活かす
ターゲティングの次のステップになるのが、エンゲージメントの形成だ。マーケティングオートメーションツールが有効である最大のポイントは、「それぞれの顧客に合ったアプローチができること」だろう。“オートメーション(自動的)”とはいっても、一斉にメールを自動配信するのではまったく効果は上がらない。リードの1件1件が、今どのような段階にあるのかを把握し、適切なタイミングで適切なメッセージを発信していくことがカギになる。
顧客育成に欠かせないエンゲージメント形成。具体的には、見込み顧客ごとに最適なメッセージを発信していくことだ。顧客のオンラインの行動履歴からデジタル・ボディ・ランゲージを読み取ってアプローチし、対話するかのように段階的に顧客の温度感を高めていく。
顧客の価値観が多様化すると、顧客に合わせたメッセージも多様になり、必要なコンテンツや顧客育成に効くシナリオのバリエーションも増えていく。そうした状況下で、日本でも多くのマーケターが「シナリオに沿ったコンテンツを用意できない」、あるいはそもそも「シナリオが設計できない」という悩みを抱えている。
適切なシナリオ設計を行うためには、SNSのアクティビティ、Webサイトの訪問履歴やホワイトペーパーのダウンロードなど、オンライン上の行動である“デジタル・ボディ・ランゲージ”から、顧客が購買ファネルのどこにいるかを適切に把握し、コミュニケーションを深めていくことが重要だ。
本来これらは、元々どこかに正解があるわけではなく、PDCAを重ねてトライ&エラーから最適な策を導き出していくものだ。だが、それを手動で模索するには限界があり、またムラも出てきてしまう。そこで、マーケティングオートメーションツールによる大幅な効率化が強い味方になる。