普段の視聴環境を維持して調査を実施
押久保:どういう観点で比較したのですか?
多田:比較の観点は、大きく3つありました。まずは、キャンペーンの効果。対照区とそれ以外のグループを比較することで、広告効果を評価しました。 2つ目は、通常型とTrueViewの配信結果の比較です。そして3つ目が、通常型と、TrueViewで完全視聴したグループとの比較です。
ちなみに、効果がある/なしの判別については、今回はより厳密な結果を得たかったので、統計処理を経て「有意に差がある」と認められる場合のみ「効果があった」と捉えました(※有意水準10%で有意差検定を実施)。
押久保:モニターへの聞き方についてですが、この調査が除毛剤の調査だと事前に分かっていると、バイアスがかかってしまいますよね。
佐藤:そうですね。なので、調査への協力の容認はどうしても必要なステップなんですが、それ以外は普段と同じ状態でYouTubeを楽しみ、広告にも他社の配信分と同じように接触する環境としました。
配信期間後、アンケートに答える段階では「次の中で、ご存知の『除毛クリーム』の商品をお選びください」といった設問があるので、除毛剤の調査だったんだと気づくかとは思います。ただ、選択肢には他社の製品も含んでおり、今回の対象商品そのものや、動画広告そのものについて聞く設問はないので、どの商品の調査だったのかがはっきり分かるようにはしていません。
通常型は商品認知、TrueViewはブランド理解により効果
押久保:非常に厳密に設計されていたんですね。では、結果をうかがえますか?

多田:まず商品認知では、通常型、TrueViewともに2回の視聴で効果が向上し、通常型のほうがTrueView全体(スキップ+完全視聴)よりも高い効果が得られました。また、TrueViewで完全視聴したパネルでは、全体(1回配信+2回配信)あるいは1回のみ配信よりも、2回配信するほうが効果がありました。
押久保:では、興味喚起についてはいかがですか?

多田:対照区に対し、ほかの3グループのすべてで有意にアップリフトが認められました。効果の程度は、同じくらいです。動画広告への接触によって、商品に対する興味喚起に効果があったといえます。視聴回数別の興味喚起をみると、通常型は対照区よりも1回配信の効果が有意に高く、TrueView全体と完全視聴のみでは2回配信のリフトが高く認められました。


さらに、今回はメッセージ到達も調査しました。具体的には「ヴィート」を含む複数の商品について「手軽にケアできそう」「肌にやさしそう」などのイメージがあるかどうかを聞いたのですが、「肌にやさしそう」ではTrueView全体でも通常型よりもメッセージ到達の効果が見られ、TrueViewの完全視聴グループで「ヴィート」が発信するイメージが届いていました。