DSPによる自動最適化と人手による分析で、CTR×CVRが約4倍に最適化
MZ:いわゆる属性でのターゲティングではなく、ユーザーの行動から潜在顧客層の条件を導き出したということですね。
友澤:そうですね。Step.2はそういうわけで、バニラエアさん独自かつこのタイミングで一番フィットするKPIに基づいて、6月から7月にかけてYahoo!プレミアムDSPで広告を配信しました。
実際にPV/UUが高かった人へ配信するのがリターゲティングになりますが、今回はその割合は10%以下です。厳密にはリターゲティングではなく、実際の配信データとPV/UUという指標をもとに、DSPの機械学習でこの指標が高くなりそうなユーザー層へ配信できるようにしたのです。
具体的には、6月前半の1週間を機械学習の期間とし、後半から自動最適化と前述のキュービタルのデータサイエンティストによる分析の両輪でチューニングしていきました。回遊したかどうかをコンバージョンとして、CTR×CVRを追ったところ、約1カ月で4倍にまで最適化することができました。ちなみにキュービタルにおける分析結果より、25歳以下と65歳以上を除いたり、Yahoo! JAPANの行動ターゲティング広告の旅行セグメントをかけ合わせたりといった調整を行いました。
MZ:なるほど。最終的なブランド認知度などのリフトの結果は、いかがでしたか?
友澤:当然といえばそうかもしれませんが、広告非接触者や、PV/UU=1の人よりも、2や3、また4の人のほうが認知率や興味関心度、好意度、検索意向度がすべて高くなりました。
セッションの新規率も10%以上向上、DSPの新たな使い方を確立
MZ:一連の施策の結果を、近藤さんはどのようにご覧になりましたか?
近藤:前身の時代から、当社では「20-30代女性」や「ファミリー層」といった属性でのターゲティングを主にしてきたので、実は「PV/UUが高いユーザーが潜在顧客層」と言われても、最初はピンときませんでした。でも、実際に運用を始めると、目に見える効果が表れて驚いています。
友澤:属性でのターゲティングももちろん有効ですが、結果から考えると誰に購入していただいてもいいわけなので。一般的に、KPIとセグメントはずれる傾向があるので、あまりセグメントだけに縛られないのもポイントかなと思います。
近藤:また、伸びたセッションの内訳をみると、新規率が高かったことが当社としては手応えがありました。懸案であった新規率も10%以上リフトしたので、今回の施策を継続すればさらに広がるかもしれないという期待があります。
MZ:今回の取り組みは、Yahoo! JAPANとしてもDSPの新しい使い方へチャレンジした形になるかと思いますが、近藤さんはYahoo! JAPANとタッグを組むことをどう判断されたのですか?
近藤:われわれとしては、最初のブランドパネル配信から確度の高いユーザー層への配信、効果の把握までをコントロールする人がいて、しっかりフィードバックを得られることが大きかったですね。
友澤:今回はバニラエアさんと膝を突き合わせて、ぶれずにKPIを追求してアクションにつなげられたことが、大きな成果を得られた要因だと思います。認知度と売上を両方にインパクトを与えられたケースとして、今回の事例をぜひ横展開していきたいと考えています。