可能性の高いユーザー層へアプローチする2段階の施策
MZ:具体的に、どのようにプランニングされたのでしょうか?
友澤:目的から考えて、今回はStep.1として優良顧客層を定義し、Step.2としてその指標を最適化するようにYahoo!プレミアムDSPで広告を運用する、という2段階でのプランニングをしました。施策をひとことで言うと「Yahoo!プレミアムDSPの新しい使い方」なのですが、DSPありきというよりは、あくまで目的に応じた最適策を導き出した結果、このような形になりました。
MZ:では、Step.1とStep.2での施策内容をそれぞれ詳しく教えていただけますか。
友澤:Step.1は、2014年4月から5月にかけて実施しました。ここでのゴールは、優良なターゲット顧客層を発見し、KPIとして活かすために数値化して表すことです。数値化できないとKPIにならず、自動化もできないので、「バニラエアの潜在顧客層=数値Aが高いユーザー」と定義する必要がありました。
方法としては、マクロミルのパネル調査によるデータと、Yahoo! JAPANのデータ、そしてバニラエアさんのアクセスログの3種類をクロス分析しています。このデバイス・ブラウザー・チャネルを横断したデータ分析により、これまでより確度の高いユーザー層に広告を配信できるようになりました。パネル調査は、最終的にどれだけブランド認知度や利用意向が高まったのかを確認するために実施しています。
Step.1においては、4月と5月に2回パネル調査を行っています。その間にYahoo! JAPANのブランドパネルなどでバナー広告を配信し、同時にバニラエアのサイトにはタグを埋め込んでおいて、ブランドパネルの接触を機にバニラエアのサイトを訪れたユーザーがその後にどのような行動をとったか、すべて計測しました。
バニラエアの潜在顧客層を見つける「PV/UU」という指標
MZ:4月と5月のパネル調査を通して、実際に利用意向などが高まったユーザーを検出し、その人たちがバニラエアのサイトでどういう行動をとっていたかが分かるということですね。
友澤:そうですね。サイト上での行動データを、Qubitalデータサイエンス(※Yahoo! JAPANとブレインパッドによるデータ分析専門の合弁会社、以下キュービタル)のスタッフで分析し、どういうユーザーがバニラエアにとっての潜在顧客層なのかを導き出しました。
実際にその指標が何だったかというと、サイトを訪れて直帰しなかった人、つまりサイト内の回遊率が高かった人です。言ってしまえば当たり前なのですが、興味関心の高いユーザーは、回遊率が高かった。これはウィンドウショッピングと同じで、店内に入ってすぐに帰る人よりも、ぐるっと見ていく人のほうが当然購入率も高くなります。以前から肌感覚では分かっていましたが、今回それが数値から見ても確かめられたわけです。
MZ:直帰率や回遊率も、いろいろな解釈があると思いますが、どう捉えたのですか?
友澤:今回は、数値で「PV/UU」としました。一人のユーザーあたりPV=1、つまり1回しかサイトを訪れなければPV/UU=1となり、直帰したことになりますよね。複数ページを回遊したユーザーは、この値が2以上となり、高いほどたくさんのページを見ていることになります。そこでStep.2では、これをKPIとして、PV/UUを高める広告運用を実践しました。