鍵はセルフィーと実況【スマホ動画プラットフォーム調査】
新規顧客を獲得するためには、新規メディアや消費者行動パターンを把握しておく必要があります。そこで今回は、バスキュールの独自調査した、若者が気軽に投稿・閲覧して盛り上がっている「スマホ動画投稿プラットフォーム調査」の内容をご紹介します。調査を担当したのはバスキュール大阪の澤井と、バスキュール東京の荒木です。
手軽に自分を発信できる動画【荒木調査員】
個人が発信メディアとなる
現在はアマチュア・素人の動画投稿が話題になり、プラットフォーム化するトレンドができています。GoogleもYouTube広告にアマチュア動画投稿タレント/YouTuberを積極利用していることも非常に象徴的です。ここでは、どのような動画プラットフォーム・関連トレンドが発生したかタイムラインで紹介するとともに、新規顧客開拓ターゲットを若者と絞った場合に参考になる若者動画投稿プラットフォームについて紹介します。
次の図は主な動画配信サービスの動向をまとめた年表です。

当初、個人動画投稿のツールは「YouTube」と「Twitter」がメインだったと言えます。YouTubeの登場で映像を、Twitterの登場でリアルタイム情報を共有できる土台ができました。さらに、スマートフォンが広まり、手軽に撮影&投稿できるようになりました。米国の企業が2014年6月に実施た調査では、消費者の動画志向が明らかになり、そして若年層ほど動画を好む結果が出ています(参考:BRANDS NOT MEETING CONSUMER DESIRE for VIDEO)。テキスト情報よりも動画を好む傾向に、スマホによる手軽な投稿アプリの増加がプラスされ、今後若年層のコミュニケーションは動画を中心としたものが主流になりそうです。
さらにニコニコ生放送やUstreamの登場で映像にリアルタイム性がプラスされ、気軽に動画投稿ができる環境が整備されていきます。2010年のツイキャスの登場は当時Twitter感覚で手軽に配信できることから、若者に受け入れられ始めました。
面白いのは同じ年にInstagramが流行している点です。Instagramユーザーにはジャスティン・ビーバーやレディー・ガガなど、自撮りに夢中になっている人=セルフィー・テイカー(selfie-taker)な有名人が多くいたことから、オシャレに敏感な女子が真似してセルフィーをするようになります。しかもInstagramはスマートフォンをメインにしたサービスです。写真撮影からアップロード、TwitterやFacebookなど既存のソーシャルメディアに共有するところまでをスマホだけで簡単にできてしまうので、セルフィーとの相性も良かったのでしょう。
日本ではプリクラの影響もあり、セルフィー文化はもともとありました。ですが、2013年に「セルフィー」という言葉が急速に使われ出したこともあり、意識的に自撮りをしようとする若者が増えたようです。ツイキャスも、インカメラを搭載してから一気にユーザーが増えたという事実があり、ツイキャスは手軽さも相まって、セルフィーカルチャーと共に成長しています。
KADOKAWA・DWANGO経営統合記念会見でリリースの予定が発表されたニコキャスも、スマホから手軽に配信ができるそうです。手軽に誰でも配信できる動画プラットフォームをいかに広告に活用するか、新しい「場」作りを考える上でマストになりそうです。
VINEとmixChannelも要チェック!
ライブ配信ではありませんが、VINEやmixChannelの動向も見逃せません。Vineは6秒の動画を共有できるサービスです。この短い尺がいわゆる「一発ギャグ」をするにはぴったりなので、「日本のお笑い文化にフィットしている」という意見もあります。6秒尺はTwitterが140文字と短文なのと同様に簡潔なので、隙間時間にスマホで見るにも非常にぴったりな尺です。
mixChannelは10秒動画を共有できるサービス。特筆すべきは「LOVE」という動画カテゴリがあり、カップルの動画をウリにしていることです。それが女子中高生にヒット。「この世の中で最大のエンターテイメントは『恋愛』」(by弊社代表 朴)という言葉もあるように、まさにmixChannelは人類最大のエンタメをコンテンツとしています。恋する気持ちは世界共通、年代も関係ありません。
基本は10秒動画を共有する場ですが、実は多くのユーザーが30秒以上の長い動画を作ってアップしているのもmixChannelの特徴です。これも恋する力が成せる技でしょうか? 完成度も高く、彼氏彼女のラブラブ動画や、「LINEで好きな人に告る」動画が流行っています。仕事に疲れた時などに若い女子の恋愛模様を見れば、キュンキュンする心を取り戻すこともできるかもしれません。
同じ趣味・楽しみを共有するための動画【澤井調査員】
積極的に動画をアップする消費者行動として注目したいのは、セルフィーによる「自分を良く見せたい」欲求だけではありません。自分の「面白い!」を伝えるゲーム実況というジャンルがあります。その名の通りゲームをプレイしながら、そのゲームの感想などを実況するというものです。ここからは、ゲーム実況を中心とした動画投稿環境について紹介します。
ゲーム実況の主流はニコニコ生放送です。プレミアム会員の登録が必要ですが、30分までの生放送なら無料で配信可能です。サービス利用ユーザーのゲーマー人口も多く、ほとんどが日本人なので気軽に始めることができます。あえて欠点を挙げるとしたら、画質にこだわる場合には物足りなく感じる人がいるかもしれない、という点です。
海外に目を向けると、Amazonが9億7000万ドル(約1000億円)で買収して話題になった世界最大のゲーム実況動画サイトtwitchがあります。英語圏を中心に、毎日様々なゲームの動画が配信されています。生放送・録画放送に対応していて、自動アーカイブされます。気に入った動画をフォローしたりお気に入りにしたり、YouTubeに自動的に投稿することも可能です。こちらはHDの高画質で配信ができ、何時間でも無料な点も人気の秘訣です。月間ユニークユーザー数は2014年7月時点で5500万と、プラットフォームとしてはかなり巨大です。
このように、ひとくちに動画プラットフォームと言っても利用のされ方が異なります。どのような層のユーザー獲得を狙うかによって、利用する動画プラットフォームも変わってくるかと思います。
【調査員プロフィール】
荒木 千穂:2009年株式会社バスキュール入社。現在ディレクターとして、LIVEエンタメコンテンツの制作に多く関わる。昨年手がけた「BLOODYTUBE」はカンヌライオンズ2014で金賞を受賞。
澤井 宏和:株式会社バスキュール大阪オフィス所属。プロジェクトマネージャー。2002年より広告/ウェブ業界に入り、デザイナー、プログラマー、Flashエンジニアを経て2009年より現職。ゲーム大好き。
まとめ
バスキュールではこれまで最適なプラットフォームを活用して、クリエイティブ&メディア活用で多くの参加者に喜んでもらえる広告を作ってきました。プラットフォームも多様化するとともに、新規プラットフォームも登場し続けている今、新しいスマホ動画プラットフォームの活用にも果敢にチャレンジしてまいります。今後もお楽しみに!