過去50年を超える生活者の変化
先日、弊社が発表した調査によると、オンラインショッピングの売上においてMobile Phoneが占める割合は日本が世界で最も高いという事がわかりました。その割合はおよそ約12%と他国のケースを大きく上回っており、日本におけるMobile Phoneの重要性を改めて実感しました (調査の概要はこちら)。
また別の調査レポートによると以下のようなデータもあり、今はさらにその傾向に拍車が掛かっていると予想されます。
- 複数のチャネルを通じてブランドと接している顧客は60%以上(参考:Forrester 2012 Nov)
- 94%の顧客は店頭で購入する前にオンラインで情報を確認している(参考:Econsultancy 2012 Sep)
そしてこういったデータを提示するまでもなく、生活者が複数のチャネルを行き来しながら購買行動を行っていることは、多くの方が自分事として実感し、理解されているのではないかと思います。
私自身も、たまたま外出先やテレビの画面の中で“気になるアイテム”を見つけることがあれば、すぐにスマートフォンで検索し、詳しい情報を集めています。その場で購入することもありますが、多くの場合は一旦どこかにリンクを残しておき、時間がある時にデスクトップPCで改めてアクセスし、買うかどうか検討する、場合によってはタブレットで妻と一緒に検討する、ということをごく普通に行っています。
このような生活者の動きの変化と認識は「76%のマーケターはこの2年で過去50年よりも大きな変革があったと感じている」という弊社調査結果にも表れています。
それではこのような大きな変化に対し、マーケターは果たして十分な対応が取れているでしょうか?
サイロ、サイロ、サイロ!
生活者が当たり前のように複数のチャネルを活用した購買行動をとる中、その動きに適切に対応してコミュニケーションを行いたいのであれば、当然売る側も複数チャネルを統合したマーケティング/CRMを実践する必要があります。しかし中々上手く行かないケースが多いのではないでしょうか? その大きな要因としては、以下の2点が挙げられると思います。
- 組織の壁
- プラットフォームの壁
「組織の壁」がある、とはつまり、担当部署間の連携が難しくなっている状態を指しています。
例えば組織がPCサイト担当部署、モバイル担当部署、ソーシャル担当部署、と分かれてしまっており、それぞれが別々のKPIを追い求めてしまっているようなケースが挙げられます。
この場合、確かにそれぞれの専門性は磨かれるかもしれませんが、お互いが自部署のKPIを優先するあまり、他部署の動きに興味を失ってしまうため、まさにサイロのような状態に陥ってしまいます(参考情報:サイロ)。結果、ブランドとしての一貫性は担保されず、お客様にはそれぞれのチャネルごとに異なるブランド体験がもたらされることになります。
「プラットフォームの壁」がある、というのはデジタルマーケティングを実行するために導入しているプラットフォームが複数存在し、それぞれが連携出来ていない状態の事です。
例えばPC向けのサイトとモバイル向けのサイトのCMSが異なっていたり、顧客プロファイル管理のプラットフォームとパーソナライズを行うターゲティングプラットフォームが異なっていたりするケースが挙げられます。
これらの場合、そもそもプラットフォームの仕様として連携ができなかったり、もしくは連携させるにしても運用の二度手間や無駄が発生するといった理由から中々活用が進まなかったり、という事態が発生します。
結果、本来活用できるはずの”資産”がそれぞれで孤立化、つまりサイロ化してシナジーが生まれなくなってしまうのです。
ではこれらのサイロを壊し、オムニチャネル時代に対応できるよう、デジタルマーケティングの成熟度を上げていくためには何が必要なのでしょうか?
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デジタルマーケティングの成熟度を高めるには?
弊社は様々な企業への調査/分析を通じ、このオムニチャネル時代において、デジタルマーケティングの成熟度を高める視点として次の3つの要素が重要だと考えています。それは以下の「3つのP」です。
- People
- Process
- Product
Peopleは人材。デジタルマーケティングを推進するためには従来からのマーケティングマインドに加え、デジタルテクノロジーに関する”センス”も求められます。
またProcessの変革も必要になります。必要に応じて組織を横断するコアチームを設立するなど、チャネルを超えてマーケティング全体を俯瞰で捉えられるような体制を築かなければなりません。
そしてProduct。ここでのProductとは、生活者に提供すべき製品という意味ではなく、デジタルマーケティングを実践する際に導入すべき製品、を指します。
弊社の調査によればデジタルマーケティングにおいて成功を収めている企業は、これら「3つのP」のいずれにおいても優れている事がわかっています。
パーソナライゼーションに必要な「3つのP」
そして最近の調査の中で、マーケティングを進化させるために最も重要なのは何か質問したところ、最も多くの回答を集めたのは“パーソナライゼーション”でした。
デジタルマーケティングにおけるパーソナライゼーションとは、あらゆるタッチポイントから集約したお客様情報を基に、お客様一人ひとりへの適切なコミュニケーションを全チャネルで一貫して展開することだといえます。
では、このパーソナライゼーションを実現するためには何が必要か。先ほどあげた「3つのP」の視点で分解してみましょう。
まずPeopleではデジタルのリテラシーを持ち、マーケティングスキルに長けた担当者が必要です。またProcessにおいては様々なチャネルを横断したアクションを実現するための組織や意思決定プロセスが求められます。そして最後にProductとしてはパーソナライゼーションのために立案されたマーケティングフレームを実現する事が出来る統合型プラットフォームが必要になってくる、と考えます。
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パーソナライゼーションを実現するためのデジタルマーケティングプラットフォームとは?
パーソナライゼーションを実現するには、まずお客様のオンラインでの行動を計測/可視化し、様々なプロファイルデータを取得し、お客様像を把握することが重要です。さらにそこにオフラインのデータも加える事ができれば、お客様の輪郭をよりクリアにすることができるでしょう。
次にそれらの多様なプロファイルデータの中で、お客様とのコミュニケーションにおいてビジネスに寄与しそうな「鍵」は何か、を分析できなければなりません。
そしてそれらの「鍵」に応じてパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを提供でき、さらにそれらがどの程度効果があったのかを検証し、PDCAを回せるプラットフォームが求められます。
例えばAdobe Marketing CloudであればAdobe Analyticsでオンラインでの行動情報や取り込んだオフラインデータを分析し、作成した顧客プロファイルセグメントをaudience managementを利用して同一プラットフォーム上にあるプロダクトに展開することができます。
そして、それらのセグメントに基づいてディスプレイ広告を出稿したり、Adobe Targetによりサイト内でターゲティングを実施したりすることがきでます。そしてそれらの結果を、Adobe Analyticsで再び評価/検証することができるのです。
この連載では具体的なケーススタディなどにも触れながらこれからのデジタルマーケティングの可能性と、Adobe Marketing Cloudのケーパビリティについて紹介していければと思います。
どうか最後までお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。
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