2014年、コンテンツが消費者に届くルートが大きく変化した
若年層のスマートフォン利用においては、検索で得た情報の品質に十分に満足しておらず、SNSに気疲れしているというニュースも多く聞かれる。さらにこれらが情報源として「当てにならない」と感じはじめる若者も存在し、一方でアプリは供給過剰……と情報の海で疲弊している様子がうかがえる。情報の供給量が需要をはるかに上回る中、若年層はコンテンツや情報との出会いにおいて「きっかけ」「物事を深く理解するシーン」が減少していると言える。では今の時代、はたして「セレンディピティ(偶然の出会い)」をどこで得ているのだろうか。
その1つの可能性として、荒川氏は2014年に急速に利用者数が伸びたスマートフォンx「キュレーションメディア」の存在を紹介する。これまでコンテンツはマスメディア、Webメディア、SNSや検索エンジン、さらに各種ポータルサイト、まとめサイトを経て消費者に届いていたが、そこに新たなルートとしてスマートフォンでの展開を中心とする「キュレーションメディア」が加わったのだ。
4大キュレーションメディアの特徴と活用方法
「キュレーションメディア」の代表的なものとして荒川氏は「Antenna」「Gunosy」「SmartNews」「NewsPicks」を取り上げ、それぞれの媒体のユーザー特性やサービスの特長を説明した。そして同じキュレーションサービスでもそれぞれアルゴリズムや編成方法が異なるため、ユーザーはもちろん、広告主が活用する目的や方法も異なると解説した。
スマートフォン広告の概念の変化・確立
スマートフォン広告の世界では、これまで量としての露出効率を追求する「量的広告」が一般的だったが、商品やサービスの持つ魅力を自然な文脈で届ける「質的広告」という考え方が2014年から国内に浸透してきている。「質的広告」は、ビジュアル表現やブランドイメージ向上に威力を発揮し、いわゆるAIDMAの「I=興味関心」や「D=消費欲求」を喚起すると考えられている。この傾向は既に米国で先行しており、多くの企業において商品サービスの認知拡大やブランディングの用途で活用されているという。
そして、その担い手として注目されているのが、キュレーションメディアの中でも「質的広告」の表現に特にこだわりを持つ「Antenna」だ。構造としては、まずキレイな画像や自動再生動画といったビジュアルとタイトルでユーザーを惹きつけ、クリック(タップ)して詳細を閲覧させ、最後に企業のブランドサイトにまで誘導するというものだ。
Antennaでは、マスメディアとの連携においても効果をあげており、Antennaxテレビ番組、女性誌、ラジオ番組、映画配給会社や音楽レーベルといった連携プロモーション例を紹介。「単発でキュレーションメディアに広告を出すよりも、様々なメディアと連動して露出することで、多くの人に深く情報を届けることができる。今後はスマートフォンだけでなく、情報流通全体図を考慮した広告戦略・プランニングが重要になる」と訴えた。
また、興味理解・消費欲求が目的の場合、toCなら「Antenna」/toBなら「NewsPicks」、というように使い分け、キュレーションメディア同士を連携させるのも手だ。認知獲得・ダイレクトレスポンス型として力を持つ「Gunosy」や「SmartNews」と組み合わせることで、より戦略的な施策も可能になるだろうと語った。