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統括編集長インタビュー

「すべての顧客接点の重みは等しい」 “オムニチャネルのプロ”奥谷孝司氏がOisixへ

箱を開けたときの喜びや驚きまで可視化できるか

押久保:先ほど「すべての顧客接点の重みは等しい」と言われました。具体的に、どういったことでしょうか?

奥谷:オムニチャネルの目的、ひいてはデジタルマーケティングの目的を仮に売上のみとするなら、Oisixなら売上の高いネットのほうが店舗より重要だということになってしまいます。でも私は、オムニチャネルとは本来、チャネルを横断して体験を豊かにすることだと思っています。ネットで買う体験も、店舗で買う体験も、どちらも1回の顧客接点として重要です。

 これらをデジタルによって可視化し、体験を吸い上げていって、より強いブランドを顧客と一緒につくっていくことが、今後のブランドのあり方ではないかと思うんです。

押久保:ネットでの購買なら、すでに可視化されている部分が大きいですが、奥谷さんが言われている体験の可視化というのは、少し意味合いが違うのでしょうか?

奥谷:そうですね、確かにある意味ではOisixのECは可視化されていて、デジタルマーケティングもかなり進んでいると思います。でも「定期宅配が家にちゃんと毎回届く」ことだけでなく、箱を開けたときの「わあっ!」という喜びや驚きも含めて、体験ですよね。

 チャネルを問わず、そうした体験はすでに“I love Oisix”になってくださっている方々には伝わっていると思うのですが、“I know Oisix”の方々へも広げて、Loveの状態になっていただきたいと考えています。

当面の目標は“ウェブナイズ”された店をつくること

押久保:そうやって体験を広げていくのが、先ほど言われた3D化するということなんですね。

奥谷:そうですね。その中で、例えば農業体験のような、新しいチャネルの開発も視野に入れています。ただ、これだけ顧客の姿が見えていて、デジタル技術がしっかりある会社なので、やはり第二のチャネルである店舗へそれらを活かすことを考えたい。

 個人的な野望は、IoT化された店、“ウェブナイズ”された店をつくることなんです。例えば、ネットでの検索性や行動情報の収集のセオリーを店舗に実装してみるとか。既存の小売業とは違う戦い方を模索しながら、ブランドを育てていければと思っています。

押久保:オムニチャネルの施策を通したブランド育成は、構想する企業はあっても、まだ事例がありません。そこができると、デジタル発の企業としては大きな成功例になりますね。

奥谷:そうなるといいですね。店舗事業は歴史が浅い分、まだ元々のユーザー体験から構築していく余地があります。すると、その過程で新しい小売業の基幹システムやITプラットフォームが生まれ、それらをBtoBで展開できるようにもなるかもしれない。

 ネットによって、ブランドとユーザーの距離は急激に近づきました。Oisixはそれを十分踏まえて、Loveを築けていると思います。では、それをどう外へ展開すればいいのか。ここには本当に優秀なエンジニアのチームがあるので、一緒に探りたいですね。店舗のIoT化に続いて、農業のIoT化だってできると思います。

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デジタルマーケティングを「温かく無視」する経営者

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/13 12:00 https://markezine.jp/article/detail/23388

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