テキスト記事に動画広告枠を設けて在庫不足を解決
押久保:現在のTeadsの状況をうかがえますか?
パルコ:2011年に仏で創業したTeadsは、現在グローバルで26のオフィスと450人のスタッフを有しています。仏はエンジニアが中心ですが100人、米に100人、その他各国に数十人。日本オフィスは現在10人ですが、1年以内に最低でも倍には増やしたいと思っています。
押久保:なるほど。そもそもなぜ、Teadsはアウトストリーム型の動画広告に注目したのでしょうか?
パルコ:メディアの接触時間を一般的にみると、やはりプリントメディアやテレビからオンラインへのシフトが顕著です。ただ、昔からしっかりとしたフォーマットがあるテレビCMをオンラインに展開するには、在庫が少ないのが課題でした。
Teadsが生まれる前に動画広告で主流だったのはインストリーム型のプレロール広告かポストロール広告でしたが、あるとき創業メンバーの一人が「通常のメディア記事の間に動画広告枠を設ければ、在庫の問題がなくなる」と気付いたのです。それが創業の発端でした。
加えて、インストリーム型では一般ユーザーの投稿動画に付帯することも多く、プレミアムとは言いがたいので、Teadsではワシントンポストやガーディアンをはじめとするプレミアム媒体のネットワークを築きました。
動画広告が「しっかり視聴されたか」を把握する方法
押久保:たしかに、動画コンテンツありきのインストリーム型と比べて、在庫の問題は解決しますね。
パルコ:ただ、もうひとつ問題があり、それは「ほとんどの動画広告がしっかり視聴されていない」という現実でした。仮にPCでノンスキッパブルのプレロール広告が流れても、その間にスマートフォンやテレビなど他のデバイスに目を移していたら意味がありません。今も、販売されている動画広告全体のうち高い割合で、しっかり視聴されていないという調査が出ています(参考情報)。
押久保:それは動画広告全体で、ですか?
パルコ:ええ。ただ、そのほとんどが、ユーザーの意志とは関係なく流れてくるインストリーム型ではないかと思います。
記事を読んでいるときに接触するインリード広告では、スクロールして記事に戻ってしまえば自動的に広告は止まりますし、Teadsでは枠を閉じることもできます。Teadsは完全視聴されて初めて広告主に課金する、100%ビューアブルの仕組みをとっているので、少なくとも我々のインリード広告では「販売が成立したのに視聴されていない」ことはないのです。
押久保:最後まで流れるにはユーザーに自発的に「見続けてもらう」必要がある、ということですね。その点も、広告主のニーズが高そうです。
パルコ:そうですね。グローバルではハイネケンやカルティエ、ナイキなど多くのブランド企業と長い付き合いがありますが、課金の仕組みも評価いただいています。