プレミアムなインリード広告を扱うTeads社
押久保:日本では、昨年ようやく動画広告元年といえる年となりましたが、同時に具体的な課題も顕在化しました。企業の「プレミアムな場所に出稿したい」というニーズもそのひとつです。今回は、MarkeZineでも昨年に日本マイクロソフトやニューバランスの事例をご紹介した(参考記事)、プレミアムなインリード広告を扱うTeads社のCOOクリストフ・パルコさんにお話をうかがいます。まずはご経歴を教えていただけますか?
パルコ:仏のラガルデール、独のベルテルスマンとメディア企業を経て、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンにて国際ファイナンスを担当しました。2000年ごろに無料ネットプロバイダのジョイントベンチャーを立ち上げて同社へ移籍、IPOと複数の企業買収を経て売却してから、しばらくフリーでいたのです。
その際、オーバーチュアの欧州責任者から連絡を受け、仏での事業展開には興味があると伝えたところ、仏の市場評価と事業のローンチに携わることになりました。スペインとイタリアでも事業を開始しつつ、会社自体はヤフーに移って、セールス責任者を務めていました。
押久保:いつごろTeadsを知ったのですか?
パルコ:2014年です。たいへん興味を持ち、私の経験が役立つだろうとアプローチして参画しました。新しい広告のフォーマットをつくる点は、サーチの市場を開拓したオーバーチュアのビジネスと非常に似通っていると思いました。
アウトストリーム型広告がシェア拡大、英では20%にも
押久保:サーチ市場の発展と、動画広告市場の昨今の発展が似ているという視点は興味深いです。
パルコ:市場の形成もそうですが、指標も似ていると思いますね。サーチはCPC、Teadsの動画広告はブランディング目的が中心なのでビューベースのCPVになります。それから、パブリッシャーの在庫が重要になります。関係性も大事ですね。
押久保:Teadsはプレミアムな媒体に特化したインリード広告を展開し、グローバルで業績を伸ばしています。インストリーム型が中心の動画広告市場で、アウトストリーム型は現在どのような状況でしょうか?
パルコ:もっとも大きい米国市場は、動画広告全体で8,000億~1兆円規模といわれています。仏では約620億円、日本では500億円程度なので、他国も合わせると全世界で2兆~2兆4,000億円くらいはあるでしょう(参考:Exchangewire Japan)。
その中で、仏ではTeadsの本拠地であることもあり、アウトストリーム型として12~15%のシェアを占めています。米でも同等の割合になれば、1,200億円程度でしょうか。また、英ではアウトストリーム型の広告が全体の20%まで届いているというデータもあるので、アウトストリーム型広告は明らかにシェアを拡大しているといえます。