広告主のニーズ高まるプライベートマーケットプレイス
押久保:では、MTAと同じく最近注目を集めているプライベートマーケットプレイス(PMP)や、広告主のニーズの変化についてうかがいたいと思います。昨年末、AOLは2016年のトレンドのひとつとしてPMPの台頭を上げていましたが、やはり関心は高まっていますか?
花崎:そうですね。オーディエンスの質を問わず、RTBでとにかくトラフィックやコンバージョンを取りたいという潮流が落ち着き、そこから少し揺り戻しがきている印象です。
特に、ブランディング目的で動画広告を出稿するブランド広告主のように、オーディエンスの質を重視する広告主が増えてきたことで、出稿媒体にブランドセーフティを求める傾向が高まっています。
押久保:マイクロソフトとの事業統合に伴ってAOLプラットフォームズ・ジャパンに参画された坂下さんは、どうご覧になっていますか?
坂下:MSNでも、ディールIDベースでのDSPトレーディングデスクとの取り組みが、この1年~1年半の間に急激に伸びています。ある程度、プライオリティの高いオーディエンスに対してビットさせる、その仕方から入札価格帯まで、マイクロソフトのエクスチェンジやAOLのMARKETPLACEなどそれぞれと特別なディールを結ぶケースが増えていますね。
最近では、そこにリッチアドや動画広告など種類が増え、これらも運用型広告として回そうという発想になってきたことによっても、市場のボリューム感が増しています。
PMPによる市場拡大と各メディアの指標確立目指す
押久保:花崎さんが指摘された、ブランディング目的での動画広告出稿ニーズは、今まさに日本でも高まっています。これが定着するにあたっての課題などはありますか?
坂下:意欲が高まる一方で、素材があるか、またテレビCM用の素材がデジタルにも適しているのか、という点が課題になっています。
それを受けて、オンライン向きの動画制作や、バズを起こしやすい媒体への出稿に関心が高まっていますね。最初から、デジタルを意識したコンテンツづくりに取り組んでいた一部の広告主は、すでに抜きん出て効果を得始めています。
押久保:ブランディングやPMPのような話が出てくると、デジタル広告を使う目的もかなり変化してきたと感じます。御社のアドネットワークのクライアントも、種別が変わってきていますか?
花崎:それはありますね。ブランド重視の広告主のデジタルへの理解や投資が極めて大きくなったことで、当社でも以前はパフォーマンス重視のクライアントが7-8割、2割がブランド系だったのが、最近はその割合が変わってきています。
押久保:ブランド広告主がますます増えていくと、広告予算の点から市場の拡大にもさらに期待が持てると思います。最後に、御社の今後の展望についてお聞かせください。
花崎:たしかに、PMPが広がることで、ブランド広告主のさらなる投資が期待できます。一方、これは良し悪しですが、リザーブドの広告が費用対効果の面などで厳しくなっていることから、PMPはそれを補う意味も担っている状況です。
我々としては広告主のニーズに応えながら、メディアのブランディング指標の確立にも注力し、運営する複数のオウンドメディアやSSPを通じた外部メディアのマネタイズも強化したいと考えています。