メディアの収益を左右するルールを中から変える
押久保:だから、メディアへ移られたんですね。中から変えようと。
菅原:はい。外から変えるやり方もあったかもしれませんが、現状ではユーザーとメディアとの間に介在しているプラットフォーマーや、スマートニュースのような媒体がルールを決めていて、それがメディアの収益を左右しています。
だから、そのルールを変えていこうと。スマートニュースは一次取材を手掛ける媒体社とは違いますが、純粋なプラットフォーマーよりはそれらに近く、またグローバルでも成長が期待されています。
何より、ミッションを「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」と掲げていることに共感しました。たとえばスマートニュースのアプリで情報をリロードすると、いったんトップページに戻り、新着ニュースが目に触れます。興味がなければ自分のチャンネルに行けばいいのですが、少なくとも接触する機会は設ける。それがひいては記事配信元への還元につながります。
押久保:データドリブンでユーザーの好みの情報だけを出していくこともできるけれど、それだけだと接触機会が狭まってしまう。少し、新聞の一面みたいなところもあるんですね。
菅原:そうですね。僕らが新人のころは、電車での新聞の折り畳み方まで先輩が教えてくれましたが(笑)、今はそうじゃない。でも、いい情報はサプリのように毎日摂り続けてカラダがつくられると思うので、情報接触の場がスマホに移ったなら、そこでも同じことを意識したいと考えています。
毎日接触することでジャンルへの意識を啓蒙
押久保:では、ブランド広告責任者として、どのようなことに取り組んでいくのでしょうか?
菅原:現状、スマートニュースは月間500万以上のアクティブユーザー、1日250万人以上に使われ、かつ1日平均9分閲覧されています。このユーザーの閲覧行動の習慣化が、僕らの大きな強みです。社内の半分がエンジニアであるエンジニア集団なので、コンテンツを見続けてもらう仕組みがあるためメディアへ価値を返すことができるんです。
これを踏まえて、広告主へ既存の広告プロダクトの提案だけでなく、新しい広告の形をともに開発していきます。同時に、インプレッションやクリック数以外の効果測定指標も模索していきます。
新しい広告としては、昨年導入した「スポンサードチャンネル」は特徴的ですね。記事カテゴリである「チャンネル」自体をスポンサードしてもらうもので、たとえば「ビューティー」のチャンネルは資生堂の提供で開設し、運営しています。

押久保:チャンネルタブのすぐ下に、常に資生堂ロゴが表示されているんですね。
菅原:ええ。特定の製品を推すよりは、日々の接触を通した美容への意識付けや、女性の美を応援する姿勢を伝える一環として使っていただいています。新聞広告の毎日の小枠広告みたいなイメージですね。常設してある広告枠を自由に活用することができるので、年間を通じて紫外線対策を啓蒙したいなどの要望も盛り込めます。
スポンサードチャンネルをご活用されている企業様への、チャンネル内の閲覧状況はデータのフィードバックを通して、自社のオウンドメディア運営や広告制作、さらには商品開発にも活かせます。ほかにも、「キャリア」のチャンネルをエン・ジャパン、「トラベル」のチャンネルをJALに提供いただいています。