半年でじわじわと向上した店頭ステッカーの効果
久松:結局、一つひとつの施策のリターンではなく、結果的に年間どのくらいの予算を費やして何を得たのか、それが見合っていたかどうかが分からなければ、次の戦略も立てられませんよね。
その点で最近興味深かったのが、先ほどお話したテレビCMと、昨年末から展開していた販促ステッカーの効果の比較です。昨年末、提携する全国の不動産会社さんへ「HOME’S」のステッカーをお送りし、店頭での掲出をお願いしました。そして度々そのステッカーの視認度調査をしたのですが、はじめこそあまり認識されていなかったものの、約半年経って「見たことがある」という数値が高まってきました。
平尾:なるほど。ステッカー掲出も、半年を経るとブランドリフトに寄与していたんですね。まさにCPAだけでは分からない世界観です。この1~2年でカスタマージャーニーの考え方も浸透してきましたが、久松さんは以前から考慮されていたのでしょうか?
久松:着目したのは7年前くらいになると思います。ただ、当時はジャーニー自体を描けても、接点ごとに最適な施策を見極めて実践したり、それを評価したりするまで至りませんでした。それが今では、環境やツールの面でも整ってきて、できるようになってきました。
もちろんユーザーのメディア接触もさらに複雑になり、難しさも増していますが、改めてユーザーの動きを俯瞰して、理想的な関係を構築することを目指しているのが現状です
マーケターには“変わり続ける”スタンスが必要
MZ:先ほど人材評価の話も挙がりましたが、環境が複雑化する中で、やはり最終的には人の問題だという話もよく耳にします。
久松:カスタマージャーニーにおける各接点を評価できると、それはおのずとそれぞれを担当する人材の評価にも影響しますね。事業としては、ユーザーとのあらゆる接点と時間軸を加味して、どのようにブランドリフトしていくのかを導き出したい。そして、それを実現するためには予算だけでなく、最適な人材の配置や組織編成も不可欠になってきます。“ヒト・モノ・カネ”のすべてを考える必要があるわけですね。
平尾:なるほど。久松さんは、これからのマーケターに必要なスキルセットをどのようにお考えですか?
久松:少し大きな話ですが、マーケターには“変わり続ける”スタンスを求めています。状況は刻々と変わり、半年前には頓挫したことも今ならできる可能性があるので、柔軟な姿勢が大事だと思います。同時に、やはりチームの一員として事業に携わっているので、アイデアを出すことにとどまることなく、継続的にヒットが生まれるように仕組み化を考えていってほしいですね。
MZ:お二人とも、ありがとうございました。最後に、自社の今後の展望をそれぞれうかがえますか?
久松:まずは来春の社名変更を見越して、ブランドを早急に立ち上げることが目標です。そのために、今以上に予算や施策、人材の最適配分を考えなければと思っています。KPI設定や適切なツール活用も含めて、スピード感を持って取り組んでいきたいです。
平尾:サイカとしては、まだマゼランを世に送り出したばかりなので、これから一人でも多くのマーケターの方々に寄り添い、サービス改善を続けていくことで、“データの可能性を引き出し、市場環境が変わっても柔軟に、かつ逞しく対応できるマーケター”のマストツールへと進化させていきます。