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統括編集長インタビュー

デジタル一辺倒に待った!デジタルネイティブにアナログが効く時代の最適なコミュニケーション

MAツールにDM発注や送付が組み込まれる時代

押久保:デジタル×アナログを組み合わせる価値が広がり、ひいてはDM市場活性化につながる綿密な道筋が、すでにでき上がっているのですね。

鈴木:このとおりに進めばいいのですが。でも実際のところ、MAツールでフルチャネルコミュニケーションを自動化できるというなら、最適なDMのターゲティングや印刷会社への発注などもシナリオ分けして実施されてもいいはずです。

 まだ先でしょうが、マーケティングシナリオをしっかり組めれば、たとえばオンラインで最初に接触したユーザーがこの経路をたどればDMを送る、逆にDMでアクセスしたユーザーがここでコンバージョンしなければメールでなど、クリエイティブまで含めて展開できるようになると思います。

押久保:そうなると、DMの制作工程も大きく変わりますね。印刷会社との商談なども、シナリオ策定時に入ってくるとなると、かなり前の段階になります。

鈴木:そうですね。そもそもDMの要素は4つほどしかなくて、ターゲット、タイミング、クリエイティブ、オファーでほぼ決まります。前の2つはすでにデータドリブンで自動化できますから、後の2つを自社で実験を重ねて最適解を見つけて、シナリオ化すればいい

 僕がいうのも何ですが、DMは歴史のある手法ながら、今ターゲティングが非常に精緻にできるようになって、まさに“古くて新しい”存在になりつつあります。かつてのバラ撒き状態だとコストがかさみ、Eメールに取って代わられたような見方をされましたが、本当はそうじゃないんです。

若年層ほど高まるDM効果、キーワードは“大人扱い”

鈴木:紙媒体の広告費は年々縮小傾向ですが、実はDMは減ってはいません。ECが浸透し、リピート通販などの事業者に引き続きDMが有効に使われているからだと思います。

 ほかにもDMは、オンラインで届きにくくなったユーザーへの接触や、体験の演出を得意としています。全日本DM大賞のサイトには過去の受賞作品も事例がいくつも載っていますが、たとえばソフトバンクモバイルはMNPで流出した顧客のカムバックキャンペーンにDMを使い、封書のROIで1800%もの効果を上げました参考情報)。

 日本DM協会による一般の20〜59歳男女への最新の調査でも、自分宛DMの開封・閲読率は80.9%、そのうち23.5%がネット検索や家族・友人との話題にした、来店したなどの行動を起こしていました。

押久保:Eメールへの反応を考えると、高い印象です。

鈴木:ええ。これらの数値はおもしろいことに、デジタルネイティブと思われる20代の特に男性に絞ると、いずれもさらに高まるのです。フリーワードで感想を採ると、手紙を受け取った経験が少ないからか、「大人扱い」「おもてなし」と感じているようです。自分宛の封書が嬉しいようですね。これには、行き詰まっている若年層マーケティングの観点からも注目しています。

押久保:なるほど。興味深いお話をありがとうございました。最後に、今後への期待をひとことお願いします。

鈴木:やはり、業界全体を動かしていきたいですね。重複しますが、デジタルだけでは人は動いてくれないので、デジタル一辺倒になりがちなマーケターにも両方をブリッジする価値を伝えていきたいと思います。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/08/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24967

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