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イベントレポート

人気アプリは何をした?ペロリ・日経など4社が語る、アプリ立ち上げ~リリース初期のグロースハック

MAU率80%、手探りで成長を続ける「yenta」

 最後に登場したのは、2016年1月にビジネスマッチングアプリ「yenta」をリリースした、アトラエの岡利幸氏だ。同アプリはリリースから約半年で17万マッチング、MAU率約80%と順調に推移している。

 「yentaは当社初のiOSネイティブアプリで、初のコンシューマー向けアプリ。まさに学びながらグロースハックをしている段階です」と語る岡氏。グロースハックを植物の育成に照らし合わせ、各段階の取り組みを紹介した。

株式会社アトラエ岡利幸氏
株式会社アトラエ岡利幸氏

グロースハック5つのフェーズ

 種選び  = 企画検証
 度所作り = プロダクト開発
 種まき  = リリース
 茎が伸びる= グロース
 花が咲く = スケール

種選び(企画検証)

 「このフェーズでは粘って戦いました」と岡氏。企画を社内に展開したところ、芳しい反応は得られなかったという。そこで、ブラウザ版でプロトタイプを作成、社内全員にテストをしてもらった。

 yentaは相手のプロフィールを見ながら、「会いたい」「会いたくない」をスワイプして選ぶことでマッチングを行う。社員に試してもらい、どれだけプロフィールを詳しく見るか、どれだけ相手に会いたいと思う人がいるのかなどのデータを取った。

 すると、社内のテストでは、ビジネスマンに会いたいと思った人があまりいない、という結果が出てしまったという。だが、岡氏はここで諦めなかった。「Facebook経由で社外の300人のビジネスマンに同じテストをしてもらいました」(岡氏)

 その結果、社内で行ったテストよりも4倍ほど良い反応が出た。「当初の仮説と同等、もしくはそれ以上の数字が出ました。社内からも納得してもらえ、正式にプロジェクトを発足できたのです」(岡氏)

土壌選び(プロダクト開発)

 yentaのUXデザインは岡氏らが本や論文を読んで独学した結果、作り出されたものだという。「1か月間、プロトタイプをひたすら作りました。一から勉強したからという理由もありますが、プロトタイプ作りに時間を使ったと思います」と岡氏。これはハマる、という実感が持てるまでこだわりぬいたという。

 ちなみに、UXデザインの多くは『ハマるしかけ』という書籍を参考にしたという。「多くのアプリを見て研究したのですが、大体のアプリが、この書籍の説明と照らし合わせると納得できるところが多かった」(岡氏)

  ※手前味噌ながら、同書は弊社刊行の書籍です。こちらの記事に書籍の目次や、翻訳者の1人VASILYの金山裕樹さんによる解説が掲載されています。よろしければ、あわせてご覧ください。

種まき(リリース)

 作ったプロダクトをどのタイミングでリリースするか、どのようにリリースするかは重要だ。岡氏は主要な人気アプリや、ビジネスマンが使うアプリのリリースタイミングなどを分析し、抑えるべきところを抑えたという。

 「調べた結果、使ってもらえるアプリには2つポイントがあることがわかりました。まずは、影響力があるビジネスマンがアプリを使うこと。2つ目がアプリを使い始めた時にハマる仕組みがあることです」(岡氏)

 影響力のあるビジネスマンについては、アプリができたタイミングでFacebookを通して、テスト時の「ともだち」よりさらに上位層を含めてアプリを紹介クローズドβ版で300人に1か月間利用してもらうことにした。さらに、この期間に利用動向を見ながら、初めてでも使いやすいようにチューニング。2つのポイントを抑えた状態でアプリをリリースした。

茎が伸びる(グロース)

 「このフェーズのために、継続的に利用してもらう仕組みと、人が人を呼ぶ仕組みを作りました」と岡氏。例えば、1日にマッチングできる人数を10人に制限。さらに、マッチング結果を表示するページをあえて用意した。承認欲求を満たすとともに、次も行いたいと思わせる仕掛けだ。

 また、yentaでは12時にプッシュ通知を出してスワイプ(人選)を促し、20時になるとマッチングの結果がプッシュ通知する、という「スワイプとマッチングの分離」が行われている。

 「プッシュ通知が出るタイミングは食事時。社内外の人と食事をしている時にプッシュが飛べば、そこからyentaの話題が発生する可能性がある。サービス拡散の機会創出を狙いました」(岡氏)

 yentaではマッチングしたらとりあえずランチをする、という世界観が形成されている。これも、人が人を呼ぶ仕組みだという。「いつも社内でランチをしてる人が急に外出したら気になるものです。しかも、利用者も“こんな人とランチにいった”と話題にできます」(岡氏)

 加えて、ユーザー限定のイベントを開催。そこでフィードバックをもらうことでユーザーと一緒にサービスを作っているという流れも作った。「交流することで、自然とコミュニティができたり、自分からエバンジェリストを称してくださる人たちも出てきたりしています」と岡氏。「花が咲く(スケール)フェーズはまだまだこれからなので、頑張っていきたいですね」と意欲を語り、LTを締めくくった。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/08/12 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25003

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