ビジネスで必要かつ活用可能なデータの提供にこだわる
押久保:なるほど。技術先行だと、見落としてしまう勘所もあるわけですね。
中村:そうですね。繰り返しになりますが、このサービスの特徴は、世界中の状況を日々観測することにあります。AxelGlobeの価値は世界中の人と情報をシェアできることにあると考えており、たとえば安全保障上問題があると“恣意的に”判定された場所を除く必要があるとすると、世界中で穴だらけの情報を提供することになります。そのような事態を避けるため2.5メートルの地上分解能にすることで、プライバシーや安全保障上の要請に対応しながら、ビジネスに必要かつ活用可能なデータを提供していく考えです。
衛星写真を提供する“だけ”では、価格競争に陥るリスクがありますし、当社が究極的に目指しているのは写真データの提供ではありません。「衛星を使って、企業の“困った”を解決するプラットフォーマー」として、衛星写真から得られた宇宙ビッグデータのAPIを公開し、外部のサードパーティーが自分たちの得意分野に宇宙ビッグデータを組み込むようにできる基盤を目指しています。
そのためにも、今後は電通さんや電通デジタルさんとともに共同で事例を積み上げ、「こういう分野で使えそう」と、様々な活用分野のアイディアを沸かせるエコシステムを作り上げたいと考えています。
押久保:「どの地域でどの色が流行っているか」ということが、現地まで行かずとも空から把握することも可能ですね。これもマーケティング分野で活用できそうです。

社会課題を解決するきっかけに
押久保:最後に、これからの展望について教えてください。
中村:活用事例については、これから企業の皆様と作っていくので、現段階では考えもしなかったようなアイディアが生まれる可能性があります。なので、興味をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひお声がけいただきたいです。
こういう宇宙データが解析できるようになったのも、AIの進化で画像認識の研究が飛躍的に進み、またビッグデータ解析の必要性が世界的に高まり大量のデータを超高速かつ精度高く解析できるようになったからでしょう。そういった技術的な進歩を背景に宇宙ビッグデータの活用が推進されれば、まだ社会が解決しきれていない課題を解決できる手立てになると考えています。
繰り返しになりますが、当社のソリューションの価値は「地球を見ること」で、それを実現するのが、コストが安くて民間企業も気軽に利用できる超小型人工衛星です。この超小型人工衛星で地球を毎日観測することで、世界中のトレンドが把握できる。そのデータをいろいろな分野で活用する。無限の可能性を、皆様と一緒に模索していきたいですね。