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黎明期から成長を続けるジーニーが語る、アドテクノロジーの古今東西

人間が本来すべき仕事に戻ってくるとは?

押久保:最近ではIoTに加えて、AI関連のニュースも増えています。AIの活用に関してはどのように考えていますか。

工藤:より広告配信の自動化が可能になるでしょうね。これまで人間が判断してクリエイティブやターゲティングを変更していたのが、AIによって自動最適化が行われる。こういった動きが進むと思います。

 これまでのネット広告全般の仕事は、ツールや広告を提供する会社が作ってきました。GoogleやFacebookなどがルールやプロダクトを作って、生まれた仕事です。それらをAIに置き換えることができれば、元々人間の力が必要なクリエイティブやコミュニケーションの企画に専念できる。奪われるのではなく、人間が本来すべき仕事が戻ってくるイメージです。

押久保:本来人間がするべき仕事に回帰できるということですね。

工藤:これにより、良いユーザー体験を考え、提供できる企業が勝ち残っていくようになるでしょう。また、ネット広告は2020年までに、DSPとSSPの混迷期からだいぶ整理されると予測しています。ネット広告運用の最適化を進めてきた時代から、顧客の中のデータと連携して、ユーザー体験最適化のためのアドテクノロジーという時代が訪れます。

 弊社だと、MAJIN(マジン)という未来予測型のマーケティングオートメーションツールをリリースしています。同ツールは、マーケティング側と営業側との連携を目指したものです。ユーザー側の広告への接触や態度変容の情報を営業に渡し、営業が接客しやすくする。費用対効果があわなければ、広告でプッシュします。

広告とテクノロジー、両方の知識が求められる時代に

押久保:先ほどお話にもありましたが、昨今はアドブロックやアドフラウドへの対応も求められています。貴社でも対応を進めているのでしょうか。

工藤:私たちは、4月からアドフラウドに対応する専門の部署を立ち上げました。エンジニアなどによるチームで、兼務のメンバーもいますが現在は5名が在籍しています。

 アドフラウドは巧妙化が進んでいます。ブラウザを動かし、サイトを一定時間滞在後にクリックして、遷移後のページでも一定期間滞在してから去る、と人に近い動きを見せるケースも出てきています。それを人力とアルゴリズムの両方でパトロールしていきます。

押久保:業界全体の活性化や健全化にもつながる動きですね。

工藤:これまではダイレクトレスポンスを目的とした施策が中心でデジタル広告市場は成長してきました。ただ、今後はブランディング目的でも活用が進むので、その時にアドブロックとアドフラウドは解決しておくべき課題だと考えています。

押久保:今後業界で必要となるスキルセットについて教えてください。

工藤:広告とテクノロジーの両方が理解できることですね。広告に関しては、ネット広告に限らずマス広告などこれまで普及してきた手法も含めて求められます。

 また、5Gの時代が来れば、できることの選択肢がより増えるはずです。その際に、魂を込めてこだわるというマインドが求められると思います。

 先日聞いた話ですが、映画監督が、画面には映らない場所に壺を置きたいと要望を出しました。それに対し、スタッフが「画面に映らない位置に用意しても無駄では」と言った途端、激怒したそうです。

 監督は、「実際には映らなくても、置くことによって俳優陣が演技しやすい雰囲気を作ることができ、それが映像にも作用する」と語ったのです。このような話は、これまでのデジタル広告のクリエイティブではありえない話でした。ただ、今後クリエイティブのリッチ化が進むと、こういったマインドが求められるのではないでしょうか。

押久保:「魂を込めてこだわる」ことが問われる時代の到来を感じますね。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/29 13:00 https://markezine.jp/article/detail/26492

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