前回はデジタル広告の閲覧時間について解説しました。より長く広告が一人のユーザーに閲覧されることで大きな効果が得られ、米Media Rating Council(以下、MRC)基準の「広告クリエイティブの50%が1秒以上」見られていることだけではなく、どのような状況でインプレッションが発生していたかを総合的に検証することの大切さについて触れました。今回は「見られている状況」に大きな影響を及ぼす「ブランドセーフティー」と「不正インプレッション」についてもう一歩踏み込んで解説します。
デジタル環境における「ブランドセーフティー」とは?
「ブランドセーフティー」とは、広告がアダルトやヘイトスピーチ、違法ドラッグなど、公序良俗に反するコンテンツ上に掲載されることでブランド毀損につながる「ブランドリスク」からブランドのイメージを守ることです。
連載二回目でデジタル広告における検証の必要性について解説しましたが、デジタルとオフライン広告の大きな違いの一つとしてコンテンツ規制の有無を指摘しました。
テレビはもちろん、雑誌などにおいてもアダルトやギャンブルなどのコンテンツが存在するものの、それらコンテンツを扱う雑誌でファミリー層向けのブランド広告を目にすることはまずあり得ません。屋外広告においてもどのエリアにどの広告を出すか、熟慮された上で意思決定されているのです。
ブランディング広告の増加、YouTubeの不適切コンテンツ問題などもあり、 ここ数ヶ月でブランドセーフティへの関心がかつてないほど高まっています。

特に米国などではテロ組織の運営するコンテンツに広告が出ることにより、大手ブランドの広告予算が間接的とはいえテロ活動に利用されてしまうという構図ができ、非常に重大な問題として受け止められています。
不適切コンテンツへの広告配信を防ぐために、これまではブラックリスト・ホワイトリストを使った運用が主流でした。
ところがニュース系のサイトでもテロ関連のニュースなど、人によっては暴力的もしくは不快に感じるコンテンツが含まれており、ブラックリスト・ホワイトリストで確実に区分けできるサイトには限りがあり、このような運用方式では配信リーチが損なわれてしまいます。
ユーザーのコメントや投稿を受け付けているサイトも多いため、ドメインレベルでしか配信コントロールできないブラックリストやホワイトリストでの運用には限界があり、やはりページレベルでの検証と精査が必要になります。
単純なキーワード(単語や単語の羅列)を用いたソリューションも存在しますが、キーワードに過敏に反応してしまい、広告配信の機会損失につながってしまうケースもあります。
たとえば「死ぬまでに行きたい……」という見出しからはじまる旅行特集などは、航空会社やトラベル系ブランドにとっては親和性の高いコンテンツですが、単純なキーワードベースの技術では「死ぬ」と言う言葉に反応してしまうケースがあります。
デジタル領域では、様々なユーザーやクリエイターにより常に時新しいコンテンツが生まれています。その中でブランドのイメージを最大限に守るためには、高度な技術による文章・文脈解析と、メタデータなどのデータ検証に基づく的確なコンテンツ識別が必要です。
コンテンツ検証もドメインレベルではなくページ単位で行う必要があり、秒単位で更新されるコメント欄やコンテンツを検証するため、大規模なクローラーのカバレッジも重要になります。
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山口 武(ヤマグチ タケシ)
Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ
ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキャ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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