カスタマーサポートに留まらないLINEのマルチチャネル化
現在LINE カスタマーコネクトでできることは、オペレーターによる有人サポート機能の「Manual Reply」やAIを搭載したボットでの「Auto Reply」だ(2017年夏以降順次機能拡充予定)。
トランスコスモスは、LINEモバイルのカスタマーサポートを担当。LINE カスタマーコネクトを通して、チャットボットとオペレーターによる対応を行っている。また、LINE上で行える不動産検索サービスやシナリオ型ボットの提供など数多く実績がある。
簡単な質問はチャットボットが受け、細かなお問い合わせはオペレーターへエスカレーションし、チャットで返信する。チャットでの作業効率は電話と比べて2.8倍(トランスコスモス調べ)と、LINE カスタマーコネクトの導入はカスタマーサポートのオペレーション効率化を実現している。さらに同社では、カスタマーサポートの先にある新たなコミュニケーションの形も見据えているという。
「LINEでのカスタマーサポートは、お問い合わせ内容を解決するというサポートだけに留まりません。たとえば、1つのお問い合わせからECへご案内し、セールスにつなげることもできる。チャット履歴はデータ化できますので、マーケティングやサービス改善・商品開発の参考にすることも考えられます。活用の幅広さは、LINE カスタマーコネクトの素晴らしい点の1つだと思います。DEC(Digital Marketing、EC、Contact Centerの頭文字)一体化という弊社ビジョンにも合致しています」(稲積氏)
LINEをマーケティングやカスタマーサポートなど、様々な領域で活用するには、クライアント企業内で担当部署間における連携が必要だ。そこでマーケティングとカスタマーサポートの両面に強みを持つトランスコスモスは、それらを一括して管理する「DECAds Connect Edition」を提供。LINE カスタマーコネクトとLINE ビジネスコネクトを併用することで、部署間での情報共有もシンプルに行え、LINEの機能を最大限活用することができる。
オペレーターにスペシャリストを揃え、対応スキルを向上
カスタマーサポートの体制も強化している。渋谷の本社内にあるソーシャルメディア対応専門のソーシャルメディアセンターに加え、新たにノンボイス(チャット)対応などを行うデジタルコミュニケーションセンターを横浜に設置。通信環境などインフラに心配があるクライアント企業でも、LINE カスタマーコネクトの導入が容易になる。
「カスタマーサポートの要であるオペレーターの人材育成にも力を入れています。たとえば、店長のキャリアや店舗での接客経験がある各分野のスペシャリストがオペレーターとして在籍しています。今はアパレルとコスメ業界のスタッフが中心ですが、今後も分野を広げていく予定です」(所氏)
また、テキストでサポートを行うチャット対応のオペレーターには、高度なコミュニケーションスキルが求められる。トランスコスモスでは、チャット対応にあたってスタンプを送る頻度や会話のリズムを相手に合わせること、返信を急がせないなどといった細かなルールを定めている。オペレーターの人材育成は、トレーニングプログラムとしてクライアント企業にも提供している。
「これからのカスタマーサポートは、1度きりではなく長い時間をかけてお客様と付き合っていくという視点が必要ですね」(所氏)