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有園が訊く!

バズってもモノが動かないなら「失敗」でしょ?そろそろマスとWebを“地続き”で考えよう

キャッチコピーは変わる、タグラインは普遍

小霜:そういう方、大勢いると思いますよ。

有園:これって、克服できるんでしょうか?

小霜:考え方とトレーニング次第で、もちろん十分可能です。僕だって、最初はWebコミュニケーションに戸惑ったわけなので。

 まず今のコピーの話で言うと、本当はマスでも複数のコピーが発生する場合は普通にあります。コピーには大きく、ターゲットを振り向かせるためのキャッチコピーと、商品サービスの普遍的な価値を伝えるタグラインの2種類があって、前者がターゲットやシチュエーションによって変わるのは至極当たり前のことです。コロコロ変わっていい。でも後者は基本的にはひとつで、こっちのほうが重要です。

有園:商品やサービスの価値を規定するもの、でしたね。

小霜:そう。これ、プロでも区別がついていない人がたくさんいます。動画の話とはちょっと離れましたけど、これはマスとかデジタル以前の広告の基本的な考え方です。

 これにのっとると、テレビCMはターゲティングが精緻にできないから最大公約数的なつかみ方をせざるを得ず、一方でターゲティングが精緻にできるWebではコピーの数が増えるのも当然だとわかりますよね。

 以前、「UNIQLOCK」のようなWebに仕込むウィジェットがもてはやされた時期がありました。いかにも広告面しないアプリそのものを通じてつながるのがWebならではのコミュニケーションであると。

 こうなるとマス系クリエイターは手も足も出ないというか、自分の領域外と考えるしかありません。そのイメージをまだ多くの人が引きずってるんじゃないでしょうか。

 今では、Webでやることも、マスでやることと基本は同じなんですよ。厳密には、WebCMには15秒、30秒といった枠の規制はないし、時系列の起承転結より先に結論を出すほうが有効だとか細かい違いはありますが、ひとつ目のテーマである「マスとWebは別物なのか?」に答えるなら、「別物ではない。同列に考えられる」と僕は思っています。ひとつ、武器が増えた感覚です。

マスとWebは同列に考えられるし、考えるべき

有園:既存メディアに加えて、ということですか?

小霜:そうです。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、交通・OOHに次ぐ、6つ目のマスメディアとしてデジタルが増えた。これらは横続きで考えられます。

 でも、新しい概念であり複雑な仕組みをつくれるだけに、確かに有園さんが指摘されたように「別物だからわからない」と腰が引けているクリエイターが多い。その結果、Webだけが全体設計の中でしっかり位置づけられなかったり、CMをWebで流すのだと言いきれずに「Web動画」というふわっとした言い方になったりしているんです。

有園:なるほど……。今の話に関連すると、Webだけが極端に予算が少なかったり、おまけの策みたいになっていたりするのも、マスとWebが横続きで考えられていないからと言えそうですね。

小霜:そうですね。枠の単価でみればWebは安いけど、映像制作の考え方や過程はテレビCMと同じなので、やるならそれなりの予算を取ってクオリティにこだわるほうがいい。そうしないと結局、無駄打ちです。

 今、広告主の大きな悩みのひとつに「Web動画のコストを社内説明できない」ということがあります。昔は制作の一部で赤字が出ても、担当者とエージェンシーが内々に話して明細のどこかに含ませる……といったこともありました。でも、今の時代はそういうことはもうできません。

 リターンが見えないから、予算を大きく割けず、無茶な発注になる。すると、安く見積もったWeb動画の赤字が他の請求に乗っけられたりして、エージェンシー不信にもつながる……こんな残念な状況も、やっぱり変わってほしいと思いますね。

明日公開の後編では、2つ目のテーマ「Webでブランディングができて“売り”につながるのか?」に鋭く切り込みます!

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/08/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/26855

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