SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

有園が訊く!

バズってもモノが動かないなら「失敗」でしょ?そろそろマスとWebを“地続き”で考えよう

なぜWebCMになると緻密な設計をしないのか?

有園:「WebCM」という言い方になると、途端にテレビCMと並列なもの、対になるものといったイメージが強くなりますね。同時に、Web動画という言い方がとてもぼんやりしたものに感じます。

小霜:意識がまず変わりますよね。まさに、そこが大きいと思っています。Web動画というと、さっきのチューバッカじゃないですが、おもしろ動画をぽんと上げて見られれば何とかなるだろうと、そういう意識になりがちです。実際、そのくらいの意識で広告が作られていると感じています。

 それって、言葉は悪いんですが、ちょっと幼稚ですよね。だってテレビCMも、それだけ流せば売れるわけじゃなくて、やはり流すタイミングに合わせて流通の棚を取って店頭周りを整えて、Webで補完するとか場合によっては戦略PRも仕掛けて、と立体的に設計するから効果が上がるわけで

有園:そうですね。全体設計の中にCMがある。

小霜:そう。なのに、Webに動画を活用しようとなった途端、立体的な視点が欠けてしまう。でも去年あたりから、ただおもしろ動画を上げるだけのような風潮に、広告主が「もうこんなことではダメだ」と気づき始めてきました。バズを狙うのも一か八かで、しかも拡散したところでモノが動かないのはなんなんだ、と。

実際は「失敗」なのに「成功」に見えてしまう

有園:バズってもモノが動かない…。確かに、Webの動画は「=バズれば成功」みたいに捉えられていた向きがあります。

小霜:また、バズった時点で「成功例」として注目されますからね。でも結局、商品が売れるとか、少なくとも何の態度変容も起こせなければ、それは失敗なのでは。当事者は失敗と思っているものが、外から見ると成功例に見えている、そういういびつな構造ができちゃっていますよね。

 ただ、意味がないと広告主が思い始めていても、まだ策があるわけではないので、制作サイドが「何か考えて」と無茶振りされている。今すごく、混迷していますね。バズらないよりはもちろんバズるほうがいいんだけど、その中でこう、しっかり成果につながるようなものはないかと模索している状況です。

有園:どうすれば本当にWebの動画がWebCMとして機能するのか、一歩踏み込んで探る節目が今ということですね。

 そこで質問したいのは、私も仕事でクリエイターの方と接すると、マス広告出身の方は多少なりともデジタルにアレルギーがあるような、そんなふうに感じるんです。

 テレビCMの、ひとつのメッセージを作ってドンと出すやり方に慣れているから、同じターゲットでも通常のバナーとリターゲティングのバナーで、あるいはFacebookとTwitterで、違うコピーが必要だというだけで混乱してしまう。

次のページ
キャッチコピーは変わる、タグラインは普遍

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
有園が訊く!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/08/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/26855

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング