企業の押しつけではない話題の形成が重要
石川氏は今回の取り組みについて、次のように振り返る。
「今、Twitterは幅広い層に利用されています。特に若年層ではスマホ利用者が8~9割。そのなかでTwitterを使っている人は8~9割いるというデータがあります。今回の取り組みは、ブランドのターゲットとなるスマホ利用者層への訴求が噛み合い、大きなリーチが生まれたと分析しています。
つまり、ライブ配信されたコンテンツと、アシックスさんのコンテンツ親和性が非常に高かった。野球の攻守交代のインターバルの間に、アシックスのCMが流れる。視聴者は試合の雰囲気をライブ配信とツイートで楽しむ状態そのままで動画広告に触れるため、違和感なくより好意的な意識で動画広告を受け入れられたのではないかと思います」(石川氏)
ライブ中継前からTwitter上で徐々に盛り上がりをつくったことも、相乗効果を生み出したという。
「Twitter利用者の会話を増やす施策にすることが重要です。一方的な企業のメッセージではなくて、利用者に当該の話題やトピックについてワイワイ語ってもらうというのが、盛り上がりをつくる上でのポイントとなります」(石川氏)
今回であれば1月下旬のタイミングで、人気のある現役プロ野球選手のプロ入り前のプレーの様子を映したティザー的なムービーを1~2週間配信。さらに会話量を持続させるため、3月に本ムービーを配信、という流れをつくった。
店舗とデジタルをつなぐ取り組み進める
アシックスでは今後、ユーザーの声をより引き出す施策や、店舗と連動した取り組みを進めたい考えだ。
たとえば、ベースボールステーションというデジタルサイネージ。店頭にモニターとタブレットを設置して、来店者自身が情報を得られるコンテンツだ。
「店舗で野球用品を買おうとしても、ずらっと並んでいるなかでどれを買えばいいかわからない方も多いと思います。そんな時に、ベースボールステーションで商品の機能や特性が詳しく分かるムービーをご覧になったり、グラブシミュレーションをしていただければうれしいです。」(戸田氏)
中高生が野球用品を使用するとはいえ、実際に店舗で購入するのは野球に詳しくない母親や父親であるケースが圧倒的だ。決済者も納得できる情報を店舗で提供し、デジタルで中高生に対してアピールを続けるという。
「これからも、Twitterさんと組んで情報発信していきたいですね」と戸田氏は意欲的だ。