講演内容はきっかけにすぎない。それ以外の現場の価値をいかにつかむか
シリコンバレー企業が日本からの訪問来客をあまり歓迎しない傾向の報道を見かける。日系企業関係者の米スタートアップ企業へのコンタクトが「視察」、「情報収集」、「表敬訪問」が主体で、事業への具体的な投資話に進まないからだ。これは国際カンファレンスへの参加においても同様の傾向がある。
もし、カンファレンスへの出張が若手の海外に向けた視野作り程度が目的なら、確かにフレッシュな講演が刺激を作り、有効価値もあろう。しかし、その往復の投下時間は1週間程を費やすはずだ。この時間投資が「自己研鑽のため」では旅行程度の価値でしかない。まして事業の中軸を担う役職となればなおさらだ。実はアドバタイジング・ウィークは、ほぼすべてのセッション内容の「ビデオ・リプレイ」がサイトに随時公開されている。
講演内容の拝聴が目的ならば、日本にいながらコマ送りしながら詳細のメモを取ることすら可能だ。つまり主催者が公開している「セッション内容」はアドバタイジング・ウィークの生み出す価値の「重要だが」、「きっかけ」の部分に過ぎず、それ以外の「現場」の価値が期間中に存在する。
アドバタイジング・ウィークに限らず、海外カンファレンスへの参加の際は是⾮とも講演・展示内容(だけ)ではなく自分のビジネスの創出・ゴールにフォーカスを置いて欲しい。参加者やゲストとのビジネス関係性を構築する(しようとする)と、格段に滞在中の成果物が変わる。
早い話、「セミナーの外」で話ができる人が何人居るか(作れるか)と、どれほど深い話につなげるキッカケを作るかが、カンファレンス全員の集合目的に尽きる。実は招待されている大物ゲスト登壇者の大半も、「このウィーク中に」ニューヨークに滞在する各国のVIPとの会合をセッションの外で設定し、会談ができるのでニューヨークに時間を合わせて集合しているのだ。
カンファレンスで関係をつくるためにすべきアクション
(出典:Advertisingweek.com)
「英語も話せないのに、カンファレンスで関係作りができるのか」と開き直る方は、この章はスキップしていただいて大丈夫だ。ここでは英語の技能を壁としてとらえる話題ではなく、国際カンファレンスに対するスタンス(目的)に対する提案だ。
まずカンファレンス時には、そもそも出会う人の数が多い。少しでも狙いの相手の記憶に残り好意が伝わるようにするためには、群衆を避けた戦略が正しい。そのためにも海外へのカンファレンスに出張する際は、とにかくビジネス計画を⽴てること。実は日本からはるばるお越しの方には、この「ビジネス計画」無しに「なんとなく」来場される⽅が極めて多い。
ビジネス計画を遂行目的で参加するには、なるべく相手との事前の関係性を作る所から始まるだろう。日本国内のケースであっても、どうしても話がしたい狙いの企業・人にアプローチする場合は、事前のステップ(たとえば紹介をつないでもらう、アポイントを入れる)を狙うのではいだろうか。そうは言っても、どんなに探してもコネクションなど、事前に取れない、という状態での国際カンファレンスの方もいるだろう。そのような場合に、現場対応で考えうる策を提案したい。
