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CPA・CVRだけでは広告成果は測れない!マルチコンバージョン機能で出稿メディアとの相性がまるわかり

 アイモバイルは昨年、アドネットワーク「i-mobile」にてマルチコンバージョン計測機能の提供を開始。これにより、管理画面においてCVRやCPAだけでなくROASも把握できるようになり、コンバージョンしたユーザーがその後にどういう行動をとっているか、どのメディアや広告枠がユーザーの総課金額が最も高いかなどの可視化を実現した。結果的にアドフラウド対策にもなっているというこの機能について、広告主からの反応や今後の展開を聞いた。

局所的でなく全体最適化を可能にする機能を開発

――国内最大級の規模で展開されている運用型アドネットワーク「i-mobile」では、現在も続々とサービスの拡充が続いています。今回は昨年提供を開始された「マルチコンバージョン機能」についてうかがっていきます。まず、お二人のご経歴と業務内容を教えてください。

(左)株式会社アイモバイル アドプラットフォーム事業本部 アドネットワーク事業部 プロダクトマネージャー 大島佑介氏(右)株式会社アイモバイル 技術本部 エンジニア 河本哲氏
(左)株式会社アイモバイル アドプラットフォーム事業本部 アドネットワーク事業部 プロダクトマネージャー 大島佑介氏(右)株式会社アイモバイル 技術本部 エンジニア 河本哲氏

大島:2012年に入社し、アドネットワーク事業部の営業マネージャーを経て、現在はプロダクトマネージャーを務めています。同時にトレーディングデスク部にて運用などもしております。

河本:他社でのエンジニア経験を経て、2012年から当社の技術本部でプロダクト開発とデータ解析を行っています。3年ほど前から研究開発にも注力しており、人工知能学会の全国大会で成果を発表する機会にも恵まれました。

――営業と技術部門は、日ごろから密に連携しているのですか?

大島:そうですね。僕ら営業部門のほうから機能開発の要望やクライアントの意見を伝えることはもちろん、技術部門側の視点から提案してもらうことも多いです。

――技術部門から、というのは珍しいですね。

河本:各案件担当者の視点だと、どうしても局所的な最適化になってしまうことがあります。システムおよびデータ全体を俯瞰することで、長期的にクライアントのメリットになりそうな機能やプロダクトを思いつくこともあるので、意見を交わしながら形にすることもありますね。

本来の目的を実現できる広告運用を

――では早速、マルチコンバージョン機能について教えてください。どういったことがわかる機能なのでしょうか?

大島:これはコンバージョンしたユーザーの、その後のアクションを可視化する機能です。以前の管理画面で表示していた、広告枠単位のCVRやCPA、出稿金額のほかに、任意に設定した最大6つのKPIの計測が可能になっています。今まではCVRやCPAでメディアを評価していたところを、課金額やROASをKPIに設定することで、より課金してくれるユーザーが多い、ROASが高いメディアを選ぶことが可能になります

マルチコンバージョン機能が搭載される前の管理画面(クリックして画像拡大)
マルチコンバージョン機能が搭載される前の管理画面(クリックして画像拡大)
マルチコンバージョン機能搭載後の管理画面/赤枠が追加部分(クリックして画像拡大)
マルチコンバージョン機能搭載後の管理画面/赤枠が追加部分(クリックして画像拡大)

河本:以前から、無料会員登録だけでなく有料会員登録や資料請求もコンバージョンとして計測したい、というニーズがあったので、それに応える機能になっています。同時に、課金額やROASがわかると、コンバージョンしたユーザーの長期的なLTVも把握できます実際にどのメディアで有望なユーザーを獲得できるのか、明確に数値化できるようになりました

――CVR優先の運用しかできなかった時は、実際にはCVRが高くてもその後のユーザーのアクティブ率や課金額が低い、ということもあったと思います。そうした事態を防いで、より広告主の本来の目的に近い運用が可能になったということですか?

大島:そうですね。課金額を当社に開示することが難しい場合も、ゲームアプリなら「チュートリアルを突破したユーザーの数」などを設定することで、よりメリットの大きいメディアを正しく選ぶ手がかりを得ることができます。

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CPAが安い=課金が良いとは限らない

――では具体的に、どのように見ていけばいいのでしょうか?

大島:サンプルの数値を入れた画面を見ていただくと、CVRは(C)のキャンペーンが最も高く2.17%ですね。CV数と出稿金額は、ほぼ同じです。

 しかしマルチコンバージョン機能により、CPAから右の2項目が確認できるようになったことで、実は圧倒的に(A)のROASが高いことが確認できました。ここから、(C)ではなく、本当は(A)のキャンペーンをぐっと推進すべきだとわかります。

――どのキャンペーンがいちばん売上が高いか、一目瞭然なんですね。

大島:はい。併せて、つい先日のアップデートでROAS最適化機能も追加したので、CVRで選ぶのではなくROASを重視した自動入札の運用ができるようになりました。

河本:最近は当社のようなアドテク企業だけでなく、「コンバージョンの質」という課題が上がっています。マルチコンバージョン機能は、その課題にも応えるものだと思います。

CVR・CPAを軸にした最適化では頭打ちしてしまう

――「コンバージョンの価値について考える」ということは、「メディアによって異なるユーザーの質を考える」ことともいえますね。確かに最近、「コンバージョンの質」という言葉をよく聞くようになっています。

河本:そうですよね。当然、メディアによって来訪するユーザーの特徴が違うので、たとえばゲームアプリをインストールしてそのままの人が多いメディアと、その後もアクティブに使ってくれる人が多いメディアなら、後者により広告出稿するほうが効率的です。CVRやCPAを軸とした最適化は、獲得ユーザーの動向が見えない限り改善が頭打ちになってしまいますが、数値ベースでユーザーの動きを把握してさらなる改善が可能になりました。

――冒頭で、以前から複数コンバージョンの計測のニーズがあったとおっしゃっていましたが、それが今回の機能の開発につながったのですか?

河本:それも、開発の背景のひとつです。技術的な側面からいうと、他社のプロダクトをみてもCPAで最適化する機能はもう標準装備されているので、差別化につながるi-mobileならではのブレイクスルーを探していた部分もありますね。

大島:営業の立場だと、設定をクリアして、予算も満額消化しているクライアントに増額や改善の提案をしても「課金額が思わしくないので増額できない」という声を聞くことが多々ありました。それなら、課金の情報を管理画面で確認できれば、よりクライアントのメリットにつながる改善を考えられると思い至ったんです。

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コンバージョン以降のアクション施策を考察へ

――広告主も当然、売上やROASまで一気通貫した運用ができないことは課題だったと思います。機能を提供し始めて、具体的にどんな手応えがありましたか?

大島:まず、本当にクライアントの望む方向での提案ができるようになりました。クライアントの視点をより共有できた実感がありますね。また、課金が多いメディアを訪れるユーザー属性を確認して、若い人が多いならクリエイティブの方向性を変えるなど、次のアクションにつなげやすくなりました

 加えて、今まで「Webユーザーのほうが課金額が高い」と推測していたものが、実際に数値でも確認できました。業種を問わずマルチコンバージョンでROASを計測している案件のデータをまとめた所、獲得ユーザーの課金総額における構成比は、アプリが15%ほどに留まりますが、ゲームに限ると41.3%とぐっと高まります。こうした数値も、次にWebでどんな施策を打つべきかなど、深い議論をする材料になります。同時に、属人的な知見に基づく運用にならざるを得なかった部分の標準化にも役立っています。

河本:ゲーム会社だと、KPIが必ずしもCVRやCPAではなくDAUなどの場合もあります。それも可視化できるようになったので、より効果が見込める広告につながっていると思います。

――業界や企業独自の指標も取れるわけですね。

大島:はい。さらに、これは開発後に発見した利点ですが、コンバージョンがすごく多いのにその後のユーザーのゲーム起動率や課金額などが著しく低い場合、アドフラウドの可能性も考えられます。なので、アドフラウド対策としても使えるようになりました。

CPAにこだわりすぎないことが重要

――マルチコンバージョン機能を最大限に活用するポイントはありますか?

大島:広告主の視点でもメディアの視点でも、CPAにこだわりすぎないことが重要だと思います。売上が上がっているなら、それに見合う評価を考えてCPAを上げることで一層の新規ユーザーを取り込めるので、俯瞰的に判断していただくことが大事ですね。

河本:i-mobileは元々、キャンペーン全体ではなく掲載メディアや掲載枠単位で目標CPAなどを設定できるという、細かいコントロールできる点が特長です。

――他の機能と連携して、さらに効果を引き上げられそうですね。では、今後注力していくことなどを教えてください。

大島:アドネットワーク事業者として、広告主向けの話が先行してきましたが、今後はメディアへの収益還元という視点もより強化して、課金が上がりやすいメディアや広告主にとって効果の高いメディアをしっかり評価していくことを進めていきたいです。また、課金額以外にも広告主ごとの効果指標を柔軟に組み込んで、よりニーズに応えられるようにしていきます。

河本:技術的には、現状で実装しているCPAとROASに対する最適化機能に加えて、他のKPIに対する最適化もできるようにしていきます。将来的には、人が細かい運用をしなくても一連を自動で広告効果を最大化するようにできればと思っています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/27584