2012年、アドビ システムズはクラウドでソフトウェアを提供するサブスクリプション型の「Creative Cloud」の販売を開始。早くも翌年には、それまでのいわゆるパッケージソフトの販売を中止して、クラウドに完全に一本化した。ビジネスモデルをがらっと転換する鮮やかな決断が功を奏し、現在同社の収益は上々だ。時代が求めるスピードに対応し、ユーザーに受け入れられて事業を押し上げるサービスの成功要因は、どこにあるのだろうか? 同社の見解を元に解説する。
※本記事は、2018年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』26号に掲載したものです。
定額制への転換の背景
「Photoshop」や「Illustrator」をはじめ、アドビ システムズがソフトウェアの定額制サービスを開始して丸5年が経ち、ユーザーの間にはすっかり定着した感がある。当時、その大きな転換はセンセーショナルで、早々にパッケージ販売を取り止めたことにもインパクトがあった。この転換の背景には、主に2つの理由があったという。
ひとつは、スピードだ。以前のパッケージ販売の時代には、顧客に新しいバージョンの製品を届けるのに約2年を要していた。一方、定額制に改めてクラウドを介した配信を行うと、既存製品と新製品の両方で、顧客に自社の最新技術をより頻繁に届けられるようになる。このスピードを最大限に速めたいという思いから、パッケージ販売による永続ライセンスモデルからの脱却を考えたという。
もうひとつは、安定した収益モデルへの転換だ。パッケージ販売の時代から、同社製品への顧客の支持は厚かったが、新製品を発売した際に既存ユーザーが必ず買い替えてくれるかというと、その保証はない。もちろんサブスクリプション型でも解約は可能だが、やはりこうした契約形態のほうが、より定期的で予測可能な収益を見込めるといえる。このビジネスモデルの転換を通して、会社を成長させ、これまで以上に幅広い業界に3つのクラウド製品、「Adobe Creative Cloud」「Adobe Document Cloud」「Adobe Experience Cloud」を届けていきたい意図があった。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
-
- Page 1
-
- Page 2
この記事は参考になりましたか?
- 定期誌『MarkeZine』特集連載記事一覧
- この記事の著者
-
高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
