SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

そのテレビCMは見られているのか?テレビ視聴の「質」をデータで明らかに


デジタル出身のブランドマネージャーの台頭

――広告主側で視聴率以外のデータを取得して、いざメディアのプランニングに活かそうとすると、なかなか代理店の理解が得られずに事が進まないと伺ったことがあるのですが、それは日本だけではなく海外でも同様のことがあるのでしょうか。

劉:代理店にほぼメディアプランニングを丸投げしている場合は、なかなか一筋縄ではいかないこともあるでしょうね。

 我々としては、視聴質のデータの価値を伝え、そのデータの活用が広告主だけでなく彼らにとってもメリットになることを伝えていくことが重要だと認識しています。今でも啓蒙活動を行うと同時に、実際のトライアルの中で効果検証を行い、色々なカンファレンスで我々の研究成果を発表したりしています。

――臭い物に蓋をするというか、不都合な真実が明らかになるのでデータを見たくないというような方も、いらっしゃるのでしょうか。

劉:そうですね。これは国の問題というよりは、世代の問題でしょうね。今まで伝統的なメディアにしか触れてこなかった方は、データにあまり触りたくない、できるだけデータ抜きでプランニングをしていきたいという方も確かにいらっしゃいます。

 しかし最近のトレンドとしては、デジタル出身の方がブランドマネージャーになってCMOになるという流れがあります。そういう方は、データドリブン、ファクトドリブンでのプランニングをしていきたいとなり、視聴率以外のテレビのデータに注目する事例が多くなっています。

 広告主側だけではなく、代理店や放送局の中でもこのような動きは起きています。世代交代が進めば、デジタル側の常識をテレビにも持っていこうとします。デジタル施策では重要視されていたビューアビリティの概念が、なぜテレビにはないのか、必要だよね、と。

 日本においても時間の問題だと思います。ネット広告費の市場規模は、4、5年後にはおそらくテレビと同じになるでしょう。そうしたらデジタル世代の人間がテレビの良さに改めて着目し、デジタル的な手法でテレビも運用する時代に入っていくのではないでしょうか。

GRPとAI値を掛け合わせた新たな指標「アテンションGRP」でのプランニングも始まっている

劉:テレビの一番の良さは、やはりリーチが取れることです。デジタルではOne to Oneコミュニケーションのトレンドがありました。それをそのままテレビに持ってくると、テレビの良さが失われてしまう。とはいっても、年齢・性別だけのセグメントでは粗いんじゃないかと……。

 そういった議論の中で、我々のデータとGRPのデータを掛け合わせて、新しい指標を算出し、番組の一覧を並び替えるといった新しいプランニングの取り組みも始まっています。ターゲティングの精度を増しつつ、リーチも担保するのです。

――最後に日本の広告主、メディア、代理店に向けて、テレビの施策にもデータドリブンに進めていくアドバイスをいただけますか。

劉:テレビのデータの活用が広まると、テレビのポテンシャルが改めて明確になります。具体的には、共視聴(複数人で画面をみること)、大画面で100%表示されることなどですね。今まではテクノロジーやデータの整備が遅れていたため、テレビ本来の良さが伝わりきれていませんでした。我々のデータを活用いただくことで、本当に質の良い番組や広告が正しく評価され、取引される世界を共に作っていければと思います。

総力特集「テレビのビッグデータを知る」

 2018年5月25日(金)に刊行した定期誌『MarkeZine』29号では、テレビのビックデータを特集しています。本記事のTVISION INSIGHTSに加え、ビデオリサーチ、スイッチ・メディア・ラボ、エム・データ、インテージの協力もと、視聴率の実態とテレビのビッグデータを解説しています。また、テレビのマーケティングデータ活用の取り組みについて、KDDIとメルカリのキーパーソン鼎談も必読です。テレビの施策にデジタルの常識を持ち込みたい、そんな課題感をお持ちの方におすすめの特集となっています。詳細はこちらをご確認ください!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/05/25 16:20 https://markezine.jp/article/detail/27946

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング