既存のアパレル企業がデジタルシフトできない理由
――アパレル業界は冬の時代と言われますが、御社のようにテクノロジーを活用すれば、逆にチャンスもあると思います。それがなかなかできない理由はなんでしょうか。

今成長している企業を見ると、経営陣がテクノロジーに明るいという特徴がありますよね。実は私自身、この事業を立ち上げる前、ご縁があってメルカリの創業メンバーになり、事業の立ち上げから拡大していくまでの間、アプリの企画などを担当していたのです。メルカリ会長の山田進太郎氏は元エンジニアで、社長の小泉文明氏はミクシィということもあり、ITの取り組みに理解があって、投資判断も速い。なので、私も社員には「うちはアパレル小売りではなく、テクノロジーカンパニーだ」と常々言っていますし、経営陣も最新ITを取り入れていくことに抵抗がありません。実際、今もAIやブロックチェーンに関して研究しています。こうした取り組みができるかどうかがポイントだと思います。
――確かに、経営陣にITのわかる人がいないと、ITに関する意思決定は遅くなりますね。
もう1つ言うと、既存の大手企業の中に、魅力的な商品やブランド作りに努力していない企業もあります。たとえば、モノづくりの過程はこれまでブラックボックスでした。隠しておかないと、高い価格を設定しにくいからです。こういう姿勢も、今の消費者には受け入れられません。
選ばれるブランドになるには、やはり消費者が何を求めているのかを理解し、そのニーズに応えるモノづくりや、情報公開をしていくことが必要だと思います。今までのやり方はいったん忘れ、まず顧客を見ることが最も大切なのではないでしょうか。そして、それをやるために最も必要なのがテクノロジーであり、顧客のニーズを具現化するために最大活用すべきなのもITだと思います。そして、今はそれができる時代だと考えているのです。
――自分らしいファッションを楽しむ、そんな時代を御社が作っていくことを楽しみにしています。今日はありがとうございました。