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AbemaTVが語る、ヒットコンテンツを生む秘訣

話題を生み出す組織に必要な5つのこと

 谷口氏はここまでヒットコンテンツを生み出す企画術を語ってきたが、続けて組織作りについても明らかにした。同氏によれば下記5つの仕組みを採用しているという。

1.トンガリスト会議

2.初期設定

3.関所

4.各設計

5.社長合宿

 1つ目のトンガリスト会議では、尖った番組を「トンガリスト」と命名し、一番重要な会議として、番組プロデューサー7、8人に加えサイバーエージェントの藤田晋社長が集まり企画を選定している。谷口氏によれば「これまで出てきた番組はほぼ全て同会議を通じて生まれている」という。

 会議では、ジャンルと狙い/切り口、システム/要素の3つを組み合わせてお題を考え、それに合った番組企画をプロデューサーが起案。それを藤田氏中心に評価し制作するかを決めている。

 2つ目は初期設定。「ここが一番重要なステップ」と谷口氏。絶対にブラしてはいけないポイントやどうしたら話題になるかなど重要な項目をとにかく研ぎ澄まして考えられるかが企画には重要になる。

 3つ目の関所は、考えた初期設定をもとに宣伝・制作などに関する予算を決め、有識者が集まり企画のブラッシュアップを行うもの。初期設定と関所の2ステップで企画を立てることで見切り発車を防ぐ狙いだ。

 4つ目は各話設計だ。事前に番組関連のニュースの量・質、ソーシャルでの話題拡散量や事前の視聴予約などの数字をもとに、番組がどの程度ユーザーに求められているのかを確認。もし目標に対して足りていなければ、新たな仕掛けを考えていくという。これにより、放送してみないとヒットするかわからない、という状態をできるだけ避けている。

 最後の社長合宿は、元々サイバーエージェントで行われてきた文化の1つだという。

 「藤田と丸1日缶詰めになって、目標の数字が達成できそうな企画・アイデアが出るまで絶対に帰れない合宿です。時にはそういった形で追い込むことで、企画を作り上げています」(谷口氏)

AbemaTV、さらなる成長に必要な4つの展開

 講演の最後、谷口氏はAbemaTVの戦略の変遷を紹介した。先述の通り同社は、ヒットする企画を作り上げる仕組み、組織体制を整え、レギュラー番組の底上げをしながら、定期的に話題を作ってきた。同氏はそこに関して「今後の規模拡大における最注力分野」としながらも、その先にある4つの構想を明らかにした。

1.パンプアップ

2.オリジナル番組のIP展開

3.多デバイス展開

4.グループ事業連動

 1つ目は、強い負荷をかけてトレーニングを行うことで筋肥大を促進する「パンプアップ」と同様に、コンテンツに大きなコストをかけながら、売り上げを大きく伸ばしていくことを意味している。まだ、黒字化には至っていない事業だが、谷口氏によれば売り上げは着実に伸長しているという。

 2つ目は、話題になった番組をIP展開することで、さらに話題の量を増加。3つ目の多デバイス展開も今後出てくる新たなデバイスへの対応はもちろん、各デバイスに適合したサービス提供に努めていくという。

 4つ目のグループ事業連動に関して、谷口氏は例を挙げて紹介した。

 「最近AbemaTVでは、ウルトラゲームスという新たなチャンネルを開設しました。弊社グループはゲーム事業も展開しているので、両社のシナジーを活かしたゲーム番組を作ることで、ゲーム事業とAbemaTV事業両方の成長に貢献できると考えています。グループ全体で相乗効果を生み出すことは、中長期の成長を見据えると重要な取り組みになってくるかと思います」(谷口氏)

 谷口氏はAbemaTVの現状を「我々はまだマスメディアを作る挑戦権を得たという状況」としている。これまで、インターネットメディアとテレビをはじめとしたマスメディアは対立構造や別物として捉えられることが多かったが、AbemaTVの話題化がより進み、収益化にも成功した時、メディアのあり方は大きく変化するのかもしれない。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/14 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28350

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