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【楽天インサイト×キーパーソン対談】生活者の意識と行動を捉えるデータインサイトの未来(AD)

【ユーグレナ社出雲充氏と考える】企業経営とマーケティングにおけるミッション・ビジョンの大切さ

理念とビジョンが人を惹きつける

田村:確かにそうですね。それに加えて、出雲さんが掲げる経営理念がパートナー企業を惹きつけてきたのではないですか。ユーグレナ社は経営理念に「人と地球を健康にする」と掲げられていますよね。出雲さんがその経営理念を掲げたことで、イノベーションに参加しようという人や組織を惹きつけている。私が今注目しているのは、マーケティングの世界でも、経営理念やミッション・ビジョンが人を惹きつけるようになりつつあることなのです。生活者を、商品やサービスを消費し便益を求めるだけの単なる「消費者」と捉えるのではなく、世の中をよくしようという価値を求める「人間」であるとする考え方が、フィリップ・コトラーなどのマーケティングの権威によって唱えられ、支持を得てきています。

出雲:そういう視点はとても新鮮ですね。確かに、ユーグレナ社の商品を買ってくださるお客様には、「健康にいい」といった物質的価値で買う方以外に、私たちの社会貢献の意図を支持してくださるお客様もいます。また、株主の数も非常に多く、約9万人の個人投資家に支持いただいています。

田村:それは素晴らしいです。ユーグレナ社が地球を救うことを理解したら、たとえば「健康にいいから」と孫に飲ませていたおじいちゃんが、その行為自体が「地球を後世に残していくことにつながる」という思いに変わり、さらに買い続けるようになる。これはもう、他のどんな企業も割り込めない商品価値、ビジネス価値になりますね。ミドリムシは、二酸化炭素の排出削減という環境価値など多様な可能性について研究をされていますし、世の中をよくしようという価値を求める人々が応援したいブランドとして成長してゆける可能性を感じます。その観点でも、ユーグレナ社はとても興味深い会社です。

マーケティングの変化

出雲:どうしたら、その最強のモデルを実現できますか?

田村:そうですね、逆説的ですが、企業がみずから社会のためになる会社だと情報発信をし過ぎるとしらけてしまうとも言われています。生活者から生活者への口コミが一番信頼される時代ですから。ですので、まずはこれまでどおり、機能性食品としての基本価値を経験いただいてリピーターを増やしていって、その信頼関係があるなかで、さらに「地球のためにもなる」というようなメッセージを添えるという順番でよいように思います。楽天インサイトとしては、ユーグレナ社はネットでよく検索され、オンラインで売れやすい商材でもありますので、我々が保有しているログデータを用いて購買者の購入導線やコミュニケーションの有効性を分析することもできます。そこから生活者の深層心理に迫る王道のリサーチサポートも含め、総合的に支援することができるでしょう。

出雲:なるほど。楽天インサイトはリブランディングを経て、かなりデータドリブンのマーケティングに注力されるのだと思ったので、そうした人間的な価値の話が上がるのは意外でした。

田村:生活者が求めるものがモノの便益だけでなく、ブランドのミッション・ビジョンに対する人間的な共感でもあるというのなら、それも含めて意識データと行動データを活用し、支援していくべきなのだと思います。人が求める価値、そしてマーケティングのあり方は進化していきますから、分析のあり方も柔軟に捉え、本質的なサービスを心掛けていきたいと思います。

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長CEO 出雲 充

 1980年生まれ。東京大学農学部卒。2002年東京三菱銀行(当時)入行。2005年8月株式会社ユーグレナを創業。同年12月、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に世界で初めて成功。内閣官房知的財産戦略本部『知的財産による競争力強化・国際標準化 専門調査会』委員(2010年)等を務めた。2015年、第1回「日本ベンチャー大賞」内閣総理大臣賞受賞、第31回「企業広報賞」企業広報経営者賞受賞。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』(ダイヤモンド社)。

楽天インサイト株式会社 代表取締役社長 田村 篤司

 2002年に東京大学卒業後、米国系総合金融グループであるシティグループ(東京)に入社。2009年ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBA取得。米国系戦略コンサルティング会社であるブーズアンドカンパニー(東京)での勤務を経て、2012年に楽天インサイトに入社。同社では、分析組織の強化を進めながら、海外事業の強化、ビッグデータ分析組織の設置や広告事業との提携などを手がける。2016年より現職。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/12/20 10:00 https://markezine.jp/article/detail/28868

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