ユーザーがトリガーとなる「次世代DM」
イベント最後のパネルディスカッションでは、カゴ落ちから最短24時間で「紙のDM」が届くという衝撃のリテンション施策を実現したディノス・セシールの石川氏と、それを可能にしたプリント技術を提供するグーフの岡本氏が登壇。モデレーターはイーリスコミュニケーションズの鈴木氏が務め、「次世代DM」に対して意見を交わした。
ディノス・セシールの石川氏は、同社のECにおいて一度商品をカートに入れたものの購入には至らなかったユーザーに対して、その商品とレコメンド商品を載せたDM送付を実施した。これまでDMは広告主がトリガーを引くものであったが、これはユーザーの行動がトリガーとなっている。鈴木氏は、これを「次世代DM」と名付け評価している。
石川氏は、ユーザーに適したレコメンドを正しいタイミングで出すことで、紙DMは大きな効果を生むと述べた。
しかし、これを実現させるためには、大きな課題があった。まず、印刷に時間が掛かるということ。通常、DMを企画してから送るまでに2週間かかると言われているため、石川氏が重要とする「正しいタイミング」に出せないことが課題とされていた。またディノス・セシールが実施した「次世代DM」は、ユーザーのカゴ落ちがトリガーとなっているため、日によってカゴ落ちの人数が変わる。そのため、制作発注するDMの数が日によって大きく変わるという課題ももっていた。
この二つの課題を解決したのが、グーフである。同社は、「Print of Things」という印刷最適化プラットフォームを提供している。各地の印刷会社とパートナーシップを結んでおり、各種サービスとの自動で連携。発注を受けたあと、印刷会社の稼働率を見て作業を分散させるため、スピード感のある印刷が可能になっている。岡本氏は、「デジタルと連携することで、紙DMはより進化できる」と主張した。
鈴木氏は、「Print of Things」の登場で、これまでデジタルでしかできなかったことが紙でもできるようになったと述べる。
「デジタルと紙、表現の技術がまったく同じテーブルに載った瞬間がやってきました。デジタルVSアナログをいう対立構造は終わり、これからはデータドリブンで両方やることが重要です。それぞれの特徴を上手く組み合わせ、活用してほしい」と語り、イベントを締めくくった。