SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

カスタマーサクセスの理論と実践

カスタマーサクセスを実現するには?

 カスタマーサクセスへの関心は高く、我々のところにもよく問い合わせがあります。そこで、最後はカスタマーサクセスの実現について説明します。

 最初に、顧客が何社あるなどの基本的なデータの整備が必要です。次に、カスタマーサクセスのノウハウが必要です。そのためには、既存顧客の声を聞くことが大切だと思います。上手くいっているところもそうでないところも、既存顧客の声を聞いて自社におけるカスタマーサクセスの姿、そのために何をしなければならないかのノウハウを蓄積します。

 最初は、お客様がどのレベルで使っているのか把握していないので、ポジティブな反応がくるのか、ネガティブな反応かはわかりません。セールスフォース・ドットコムでも、お客様のところに行ってみると、解約しますと言われたことがありました。でも、こういうところで困っているなどの情報が得られましたし、解約するというお客様からはその理由を聞き出し、どのタイミングで何をすればよかったのかなどのノウハウが得られました。これにより、いきなり病気がわかるのではなく、健康診断からやるという風に動き方を変えることができます。

 ノウハウが蓄積されたら、それを効率よく伝えるというフェーズに入ります。ユーザー会の開催、自動化、Webセミナーをやるなどのことが考えられます。

 カスタマーサクセス担当の評価の指標は、その担当者が何をしたかではなく、お客様が何をしたかであるべきです。セールスフォース・ドットコムの場合は、更新率、利用状況の数値、それに活動を通じて発生した追加商談などの案件の数、顧客エンゲージメント率などとなります。

 必要なスキルは、コミュニケーション能力だと思います。セールスフォース・ドットコムのカスタマーサクセス部門には、サポートやSEをやっていたという人、コンサルティングで業務改革をやっていた人などが多く加わっています。背景は様々ですが、コミュニケーション能力は共通しています。自分が黙々とやるのではなく、自分が伝えた相手にやってもらうわけですから、これならやってみようと納得して動いていただく必要があります。一方的に正論を伝えるのではなく、“何かお困りですか?”“会社でどのようにやっていますか?”など尋ねながら問題を聞き出し、顧客に合った方法や対策を伝える必要があります。人の役に立ちたい、お手伝いをしたいという人が向いているかもしれません。

 また、ファシリティ(まとめ役)の能力も必要です。情報を整理して正しい方向に持っていく。物腰は柔らかくても、間違っていれば軌道修正できる力が必要です。

 割り切りも必要です。特定の顧客に延々と時間をかけるわけにはいかないので、情報とデータを分析して、この顧客にはここまでやると割り切ることも求められます。

 我々も手探りで進めてきました。立ち上げから軌道に乗るまで2年ほどかかり、その間失敗もたくさんありました。その経験から言えることは、カスタマーサクセスでお客様をどういう姿にしたいのかというイメージを持つことが重要ということです。我々の場合は「信頼されるアドバイザー」に行き着きました。そのための指標として、解約率、更新率などを採用しました。イメージなしには、現場はどう動いて良いかわかりません。カスタマーサクセス部門を立ち上げることが目的ではなく、各社それぞれの目標があると思います。それを定義しておくことが大切だと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
定期誌『MarkeZine』特集連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/09/25 13:30 https://markezine.jp/article/detail/29249

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング