情報収集や広告に関心が高く、口コミ力も強いTwitterオーディエンス
セミナーは、Twitter Japanの上級執行役員で広告事業担当本部長を務める味澤将宏氏による「いま、なぜTwitterなのか?」のセッションからスタートした。
Twitterは、世界中で起きている出来事を知り、それにまつわる会話がリアルタイムで行われ、広がっていく場所である。味澤氏によれば、Twitter利用者は積極的に情報を取りに行く「ディスカバリーマインド」を持ち、動画メディアや他のSNSユーザーに比べて広告に対する「受容性」があるという。さらにツイートをリアルな日常会話の話題にする傾向があり、他者の購買に影響を与える人の割合も高いというのだ。
これらTwitterオーディエンスの特徴である「ディスカバリーマインド・広告の受容性・話題化」から企業が得られるベネフィットは、「いま知られる・すぐ広がる・もっと愛される」ということ。Twitter広告接触者・非接触者を比べたとき、ブランド好意度は12ポイント、購入意向は18ポイントと高く、ブランドリフトへの貢献が見られている。
最後に味澤氏は、日本の広告主からのフィードバックを受けて、本国で広告の開発が進んでいることを明らかにし、セッションを締めくくった。
オンラインで購入・買取を行うゲオマートのTwitter活用事例
イベント後半では、ゲオ、サンスター、あきんどスシローのTwitter活用事例が発表された。
まずは、全国でDVDのレンタルやゲーム買取販売の 「ゲオショップ」、衣料・服飾や家具・家電の買取販売の総合リユースショップ 「セカンドストリート」などの店舗を運営するゲオの事例を紹介する。登壇したのは、同社マルチプロダクト商材推進課・新野翼氏。今年3月にグランドオープンした同社の公式通販サイト「ゲオマート」のTwitter活用について語った。
ゲオマートは、主にゲームやスマホ、中古家電などを取り扱い、実店舗と同様に購入・買取が可能だ。プロモーションの全体戦略としては、20代から30代の男女をターゲットとし、買取告知をメイン訴求とした。
ゲオマートの総司令という設定でタレントの最上もがを起用したテレビCMを軸に、交通広告、ネット広告でのコミュニケーションを設計。ネット広告においてはTwitterを有効活用した。
「Twitterは、テレビCMではリーチしにくい若年層への訴求が可能です。また他のネット広告と比較して、Twitterは拡散が期待できます。またタレントさんとのコラボはTwitterで話題となりやすく、PR施策として行ったリリースイベントもメディアやファンからツイートされ、キャンペーンを後押ししました」(新野氏)
流入にもつながるビデオウェブサイトカード
ゲオが7月に行ったTwitter上での施策は2つ。ビデオウェブサイトカードと、フォロー&リツイートキャンペーンだ。ビデオウェブサイトカードの動画広告はフリークエンシーを意識し、テレビCMや交通広告と同様のものを使用。クリエイティブは、電車の中で見るなどのTwitter利用シーンを想定し、音がなくても伝わる構成になっている。
「動画広告の視聴だけでなく、サイト流入もKPIのひとつです。Twitterは他の動画メディアよりもCPCが低く、非常に効率の良い媒体だと考えています」(新野氏)
フォロー&リツイートキャンペーンでは、細かい条件を設けずに参加しやすい仕組みを採用し、インセンティブも用意した。同時に、ゲームやスマホ好きの利用者をターゲティングしたプロモツイートも実施している。
以上のプロモーションの結果、ブランド認知率は向上。今後も、継続的なTwitterの活用を視野に入れている。
「Twitterはマスとしても利用できる汎用性の高いメディア。次にTwitterキャンペーンを行うときは、ファーストビューやプロモトレンドも取り入れたいと考えています」(新野氏)
VO5のブランドイメージを変えた、サンスターのTwitter活用
続いて登壇したのは、サンスターのビューティケアマーケティング部の吉田香代子氏。
同社では、4月から6月にかけてVO5ヘアスプレイのキャンペーン企画「秒速変身」を実施した。ヘアスプレイ市場は、2006年頃に見られた盛り髪ブーム以降、縮小傾向にあり、近年は横ばいが続く。シェアはNo.1の花王とNo.2のサンスター2社で占められているものの、そこには大きな開きがあるという。
「生活者には、VO5に強力なセット力・プロが愛用しているというイメージがあります。そこで、VO5は自分たち向けのブランドであるという共感が必要と考え、商品の価値を知っていただく体験とその共感を広げることを目的とした、リアルとデジタルを組み合わせたコミュニケーションを設計しました」(吉田氏)
意識喚起・話題化から購入までのカスタマージャーニーにおいて、サンスターは3つのステップを設計。重要視したのは、リアルとデジタル両方からの体験コンテンツだ。
さらに、体験への参加意欲を生むファーストステップの土壌作りに、動画広告・交通広告・PR・Web告知を実施。そして最後のステップでは、共感の拡大を狙う。この中でTwitterの役割は、体験に導く土壌作り・共感による拡散にある。
このプロセスに関し吉田氏は「まずはブランドイメージを変えることを考え、態度変容につながる価値の体験を共有するツイートへ促していけるように、Twitter広告を設計した」と語った。
多様なTwitter広告を使い分け、予想以上の効果を獲得
Twitterで実施した広告は、First View Only・プロモトレンド・プロモツイートの3つ。
まず、認知拡大・話題化を目的に実施されたFirst View Onlyでは、サンバ隊をテーマにしヘアアレンジの楽しさを感じられる動画を配信した。3秒視聴数は想定視聴数を大きく超え、約6倍となった。「出稿後、#秒速変身、#vo5のハッシュタグの付いたツイートが増加し、Twitter上での会話量の増加が見えた」と吉田氏は語った。
続いてTwitterのトレンド枠最上位を24時間ジャックできるプロモトレンドでは、キーワードである「秒速変身」を疑似体験できるデジタルツール「VO5秒速変身!ナビ」を告知。短時間での圧倒的リーチによる、ブランド・商品の会話の促進を狙った。プロモトレンド実施日、アカウント流入は数万UUをカウント。ツイートからも多くのユーザーをウェブサイトへ誘導できたため、商品理解にもつながった。
最後に共感による拡散を目的として行ったプロモツイートでは、カンバセーショナルカードを採用し、ユーザーのリツイートを促した。出稿テキストを最適化していくと、ツイートも増加。広告でリツイートしたユーザーを中心にリアルイベントや商品に関する投稿も見られた。
「First View Only、プロモトレンド、プロモツイートそれぞれで、狙っていた話題化と共感の拡散が起き、予想以上の高い効果が出た」と話す吉田氏。Twitterは起爆剤として期待でき、一気に視聴数を上げる、アカウント流入を狙う施策に活用していきたいとまとめた。
客足増にTwitterで挑戦したスシロー
最後に登壇したのは、あきんどスシロー(以下、スシロー)のコミュニケーション企画推進室の齋藤晃範氏だ。
回転寿司業界トップのスシローだが、2017年は既存店の客数が前年同月比でマイナスと伸び悩んでいた。デジタルマーケティング施策を行うも客数への影響は弱く、客数を増加させるコミュニケーションへの課題があったという。
「期間限定メニューの情報を最適なタイミングで発信する必要がありましたが、テレビCMやチラシ、店内ツール中心のコミュニケーションでは、デジタルシフトしたお客様のライフスタイルに合っていません。さらに社内では、新しい施策への抵抗感がありました」(齋藤氏)
しかし齋藤氏は、Twitter社へのヒアリングから「Twitterで会話量を最大化する仕掛けを作ると、バズが生まれる。想像しきれない効果が出るのでは」と仮説を立て、社内を調整。トライアル予算の確保に至る。
そして初めてのTwitterキャンペーンとなったのが、「スシロー頂上ネタ決戦 生本マグロVS生キングサーモン」だ。ベーシックな対決というフォーマットだったが、カンバセーショナルカードを活用し、お食事券のインセンティブも用意した。結果、Impが10倍、フォロワーも2倍、投票数55,000という数値を記録する。
限られた予算内でTwitterのメディアパワーを実感した齋藤氏は、その効果を次のように分析している。
「まず、Twitterには圧倒的な拡散力があります。利用者が面白さを感じキャンペーンに参加すると、キーワードがトレンドに登場し、そこからまた参加が増えるというサイクルがあります。これがTwitterのすごさであり、無限の可能性があると感じました」(齋藤氏)
さらに、ファン化や態度変容を起こしやすい参加型であること。そして、投票やアンケートなど多様な機能と柔軟な企画性で勝負ができることもポイントに挙げた。140文字という字数制限があるからこそ、ユニークな発想につながると感じたそうだ。
成功には、社内協力と振り返りがマスト
現在、継続的にTwitterキャンペーンを行っているスシロー。活用に必要なのは、「お客様に寄り添った言葉」「プロモーション」「機能の活用」の3つだという。特に「プロモーション費用を用意しないと、Twitterキャンペーンは勝てないという時代になっている」と齋藤氏。
ゆえにスシローは、注力する「90円祭」のキャンペーンでプロモトレンドを実施。昨年・一昨年と比べ、良い結果が店頭に出ており、投資するだけの価値があると判断している。
最後に、広報や法務など交えた社内の協力体制の構築や、自社なりのKPIを定めて、Twitterの振り返りを行うべきと、運用面にも言及した齋藤氏。変化し続けるマーケティングへの前向きな意欲を次のように語り、セッションを終えた。
「時代の動きをとらえ、瞬間ごとに最適なアクション、クリエイティブを発信するチャレンジが必要です。それが最終的に売り上げへ貢献できるのではないでしょうか」(齋藤氏)