若年層のリアルはSNSから把握
MZ:AbemaTVの若年層マーケティングは、一般的なリサーチも参考にしていますか。

野村:いわゆるリサーチ会社を使って行う調査は最低限必要だとは思いますが、本当の生態系や実態が見えにくいと思っています。やはり1番リアルな反応があり、感覚がわかるのはソーシャルリスニングではないでしょうか。
たとえば恋愛リアリティショーに出ている番組出演者の人気が出てきたり、感情移入する行動があったりすると、そのフォロワーは瞬く間に増えます。応援コメントも集まり、盛り上がるんです。
しかし昨日まで人気があった人だとしても、一気にフォロワーが減ることもある。視聴者の一喜一憂や支持が、フォロワーの増減で意思表示されているんです。その変遷を見ているだけで、感情や感覚、何が良くて何が悪いのかが現れてきます。
これを踏まえて思うのは、すごく鮮度が重要だということです。特に若年層の場合、今日好きでも明日は嫌いということが日常茶飯事なので、どのような言葉に反応するのかなども含めて、追っています。
番組制作側のプロデューサーたちも、担当番組のソーシャルメディアの反応をよく見ていて、番組作りにも活かしています。地上波番組でも視聴率がSNSの反響に比例しないこともありますし、数字面で目立たなくてもSNSで話題を呼び、反応が良いこともあると思います。そういう点でも、SNSからリアルを感じ取れる場面は多いですね。
コミュニケーションの起点は相手にある
MZ:最後に、TikTokへの期待や今後の若年層マーケティングへの取り組みについてお聞かせください。
野村:TikTokは、マーケティングをするプラットフォームとしてはまだ成長段階とはいえ、若年層がいることは明確です。その層に対する感度、スピード、コミュニケーションを考えていくことを念頭に置いておきたいと思います。
熱が高いと一気に夢中になりやすい若年層ですが、コンテンツの消費スピードが最も早く、飽きやすい層でもあります。
番組制作もマーケティングも、この瞬間、彼・彼女らの興味が何に向いていて、どんなことに価値を感じているのか。これを目で見て、耳を傾けて、そのタイミングにあった情報発信やコンテンツ作り、開発、情報の流通設計を行っています。
これをやれば絶対に成功するという答えはありません。日々変わっていく彼・彼女たちに合わせて、自分たちも変化していくことが必要です。