既存の民放テレビビジネスを置き換えると、どうなるか
仮にトヨタが、1億円の広告費でテレビ広告を利用し100万人のユニークリーチを獲得したとしよう。リーチ単価は100円だ。現状のテレビ広告では視聴率までしかわからないので、想定値としてユニークリーチが100万人だったという意味だ。
また、この100万人のうち実際に何人がトヨタ車を購入したか、乗り換えてくれるのかわからないのが現状のテレビ広告の仕組みだ。
さて、これを次世代の民放テレビのビジネスモデルに置き換えて考える。結線されたテレビ端末、および、同時配信のテレビやスマホ端末で、プログラマティックTVとマイデータを組み合わせてビジネスをしたとする。この場合、マイデータで生活者の車の所有状況がわかる。
たとえば、私は、自分の車の月極め駐車場契約のために、駐車場管理会社に免許証と車検証のコピーを提出している。同じように、マイデータ事業者(株式会社マイデータ・インテリジェンスなど)に免許証や車検証のデータが共有されていて、マーケティングや広告への利用許諾を生活者から得ている状態だとする(ちなみに、無制限に利用するのではなく、特定の条件で利用するイメージでいる)。
トヨタが1億円でリーチした100万人のうち、仮に、トヨタ車の所有者が20万人、日産が20万人、ホンダが20万人、ベンツが20万人、BMWが20万人で(5つのメーカー合計で100万人)、かつ、仮に平均5年で車を乗り換えるとしよう。
対象者は、車検証のデータからこの1年間で乗り換えてくれる人を割り出す。そして、平均5年で乗り換えるので単純に5分の1になるとする。つまり、トヨタ車の所有者20万人の5分の1で、4万人。同様に、日産所有者の4万人、ホンダ所有者の4万人、ベンツ所有者の4万人、BMW所有者の4万人。全5メーカー合計で、この1年間で乗り換えてくれるのは、20万人だ。
価格帯や嗜好性が異なるため、ベンツとBMWを除外して、トヨタは、既存のトヨタ車オーナーと日産・ホンダのオーナーに広告配信することにした。つまり対象者は、トヨタ4万人・日産4万人・ホンダ4万人の3メーカーの合計で12万人だ。