間口を約1.2倍に広げた施策とは?
MZ:パッケージの事例は4Pでいうところのプロダクト話に近いと思うのですが、プロモーションに関してはどういった施策を行いましたか。
松長:2015年のプロモーションから、Web上を中心にした施策を展開しました。最初に行ったのは「五五七二三二〇」という謎のガールズロックバンドを用いたPVの配信です。「なんだかわからないけど、すごいのが出てきた」というものを作りたかったんです。そして後々、実は「五五七二三二〇」が「ココナッツサブレ」と読めて、ココナッツサブレとエビ中のコラボレーションだったということを明らかにしていこうと。
しかし、想像以上にその動画が反響を呼び、配信から3時間程度で正体がエビ中だとバレてしまい、その時にWebのスピードと怖さを実感しました。それを皮切りに、エビ中とコラボしたキャラクターの作成、秋冬には人気動画アプリ「MixChannel」を活用したキャンペーンなどを実施しました。フィナーレとしては、様々なコラボを通じて使われた彼女たちのグッズをプレゼントするキャンペーンを行いました。
すべての施策で意識したのは、若い人に「ココナッツサブレってなんか元気」「私たちが学校に持っていってもおかしくないよね」と思ってもらうことです。そういった空気感を、バズを起こしながら作りました。
MZ:2015年のキャンペーンの結果はいかがでしたか。
松長:実際、多くのエビ中ファンの方たちを中心に様々なパッケージの商品を買ってくれて、中にはコンプリートする方もいらっしゃいました。また、学校内で商品を写した画像をSNSに上げてくれている様子も確認できて、狙い通りの広がりを見せました。
結果、間口が約1.2倍になるなど、多くの方に購入いただけた1年となりました。
成功を機に3部作へと拡大
MZ:2015年度の一連のプロモーションが大きな成功事例となったと思うのですが、その後はどのようなコミュニケーションを行いましたか。
松長:私たちは、2015、2016、2017年度で行ったプロモーションについて3部作という形で語ることが多いです。先述の施策は1作目で、50周年を機にエビ中とコラボしイメージを変えるというものでした。
2016年度に行った2作目は若い方たちに良いイメージが広がりつつある中で、次は中身を進化させ、拡大した購入者に更に喜んでいただきつつ、あわせて新規ユーザーを獲得したい、という発想のプロモーションでした。その際のキーワードは「解体」です。
MZ:なぜ、「解体」がキーワードなのでしょうか。
松長:このタイミングで、中身を進化させる一環で商品の「小分け化(=解体)」を実施したからです。これまでのパッケージだと、一度開けたら閉じることはできず、食べきるのもなかなか困難という状況でした。
そこで、5枚1ユニット×4袋に小分けし提供することを決め、それを軸にしたコミュニケーションを展開しました。持ち運びができて、シェアしやすいと好評で、出荷月単月の前年比は182%の売上となりました。
MZ:3作目は何をテーマにしていたのでしょうか。
松長:これまでの施策でココナッツサブレのイメージも変わり、利便性も向上しました。その次のテーマとして考えたのは、食機会と奥行の拡大でした。つまり、食シーンやココナッツサブレを通じたコミュニケーション機会を増やし、ヘビーユーザー化させるべく、プロダクトとWebプロモーションの両軸で取り組みました。