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MarkeZine Day 2025 Retail

フリマアプリによる「消費変貌」~1億総商人時代のモノへの向き合い方~

二次流通の中で価値を持つ商品とは?「メルカリ」のデータから考える、二次流通におけるブランド構築

フリマにより一次流通での購買や単価がアップ!?

 他にも、二次流通の兆候を知る上で興味深いデータがあります。メルカリの購買履歴を分析すると、都市に比べて、地方における利用率のほうが高くなっています。

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 理由はいくつかありますが、まず地方は実店舗の数が少ないこと。その結果、ネットでの購買の利便性が増します。もちろん、ネットという点では公式のECサイトから購入することも可能ですが、より安く買えることからメルカリの利用率が高まっていると言えます。

 こういったデータを見ると、二次流通が一般化することで「新品が買われにくくなるのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。それは新商品を世に出す企業にとってネガティブな問題となります。

 しかし、必ずしもそうは言えません。メルカリのユーザーにインタビューを行うと「むしろ新品を買う機会が増えた」とおっしゃる方が多く見られます。理由の一つとして、二次流通という“売る機会”が身近になったため、それを踏まえて一次流通で買いやすくなったと言えます。

 たとえば一次流通で少し高いと感じた商品も、メルカリに出品されている類似商品や同ブランド・同ラインの商品から二次流通の価格を予測できます。すると、一次流通で少し高い商品でも、二次流通で売れる見当が付けば、購買を決断しやすくなるのです。

 二次流通の一般化により、一次流通の単価が上がる傾向も一部見て取れます。二次流通で売る目処が付けば、ユーザーはより積極的に一次流通で購入できます。あるいは二次流通での売却価格を見据えれば、より高値で購買できます。そのため、以前より一次流通での単価が高く設定される傾向も出ているのです。

二次流通の価値を高めるヒントは「リペア市場」

 これらを踏まえると、二次流通における商品価値を高めれば、やがては一次流通での単価アップや、販売量の引き上げにつながるかもしれません。

 では、どのように二次流通の価値を高めるべきでしょうか。参考になるのは、ここ最近の「リペア市場」の盛り上がりです。

 近年、二次流通が増えた結果、より商品を長く使えたり、壊れても直してくれたりという点で、メンテナンスや修理といったサービスの需要が高まっています。

 たとえば、ミニット・アジア・パシフィックが運営する、靴の修理、時計の電池交換、合鍵作製などを手掛けるミスターミニットさんでは、時計の電池交換依頼が2017年度に比べ、2018年は約1.6倍に伸長。靴の修理に関しても、お客様からスマホの画面を店員さんに見せながら修理できるかを質問される機会が明らかに増えたそうです。

 逆に言えば、商品を提供する企業にとって、メンテナンスや修理体制の強化が二次流通での価値を高める打ち手になるかもしれません。単純に商品あたりの寿命が長くなるので、耐久性の向上や国内で修理できる体制作り、リペアやメンテナンスをするサービスなど、新品をどうリリースするかだけでなく、その後どう長期的にサポートするかを考えることも大切になりそうです。実際、その点に力を入れ始めている企業も多く見られます。

 並行して、リペアを専門で行うサービスも今後価値を高めていくでしょう。クリーニングや靴・家具の修理などは、ユーザーの利用頻度が上がる可能性があります。リペア業者との提携や、商品とサービスの連携によって、商品の長期的な価値を高める施策も増えていくと考えられます。

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CtoC取引ならではの新サービスも。市場はさらに広がる?

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この記事の著者

鋤柄 直哉(スキガラ ナオヤ)

 2014年3月に株式会社メルカリに入社。オンライン広告担当として入社し、その後日本市場をメインに、オンライン・オフラインのマーケティング業務全般を横断的に担当。オンラインプロモーション・TVCM・リアルイベントの3本を軸にマーケティング活動を展開中。 新卒で入社した株式会社ボルテージでも広告出稿を担当。アプリグル...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29691

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