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人材採用にマーケティング手法を持ち込む「採用マーケティング」とは

マルケトで実施している採用マーケティング施策

 実は当社でも、こうした採用マーケティングを2018年8月から実践しています。まず仕組みとして、候補者のリードを収集・蓄積して採用プロセスを一元管理する基盤として、ビズリーチが提供する「HRMOS採用管理」を導入しました。

 ターゲット層へのメッセージを発信する手段として、PR Tableが運営する企業ブランディングを支援するCMSサービス「PR Table」を使ったコンテンツ配信を行い、候補者の応募ニーズをナーチャリングするツールとして、自社のMAツール「マルケト」を活用します。なお、候補者(リード)の情報を蓄積した「タレントプール」については、HRMOS採用管理とマルケトの間で同期を取り、採用活動とナーチャリング施策の結果を互いに反映する形にしました(図表3)。

図表3 マルケト社の採用マーケティングの全体像
図表3 マルケト社の採用マーケティングの全体像

 まずは、認知拡大から興味喚起につなげる「候補者ジェネレーション」フェーズでは、ブランディング広告や採用イベントなどを通じ、当社に興味を持っていただいた方をPR Tableの当社専用コンテンツページに誘導します。コンテンツを読んでさらに興味を持っていただいた方には、記事ページの下段にある「働きたい」「事業を知る」「取材したい」というボタンをクリックしていただきます(図表4)。

図表4 コンテンツから候補者のデータを蓄積するフロー
図表4 コンテンツから候補者のデータを蓄積するフロー

 「働きたい」をクリックすると、まずは「社員を交えた座談会への参加フォーム」が表示されるので、興味のある方は名前とメールアドレスを登録し、座談会への参加を表明します。座談会に参加せず、直接応募したいという方に対しては、フォームの下に募集職種を表示しているので、職種をクリックするとHRMOS採用管理に飛び、応募フォームに入力する形になります。

 「事業を知る」をクリックすると、当社の事業や職種を紹介する特別なPDFコンテンツをダウンロードできるフォームが表示されるので、希望者は氏名とメールアドレスを入力すれば、コンテンツを読むことができます。「取材したい」についても、問い合わせフォームに氏名とメールアドレス、知りたい内容を入力すれば後日メールでコミュニケーションしていきます。こうして収集したデータを、HRMOS採用管理とマルケトで管理するわけです。

 MAツールのマルケトでは、候補者が行う「記事閲覧」や「ダウンロード」や「座談会への参加」といった行動をスコアリングし、この点数を高めていくようにコミュニケーションを進めていきます。スコアリングが順調に伸び、座談会にも参加して、しきい値を超えたところで「応募」まで達成するようにサポートします。またコンテンツについては、PVやアクション数などをマルケトで管理し、反応が良かったコンテンツを広めて広くアプローチしながら候補者を集めます。

 こうした採用活動の中で、当然ながら脱落する候補者の方も出てきます。まだ情報収集の段階だったり、別の企業に就職が決まったり、転職するタイミングを逸したりなど理由はいろいろ考えられますが、こうした方々についても、すべてHRMOS採用管理とマルケト内で保管し、次の転職のタイミングで応募・入社につなげられるようにコミュニケーションを続けていきます。これをマルケトのMAツールでは「リサイクル」と呼んでいます。一度当社への興味を示した候補者の方は、今すぐでなくても、数年後に転職ニーズが生じたとき、当社に入社してくれるかもしれません。そのときに転職先候補として思い出していただけるよう、適切な頻度でコミュニケーションを続けるとともに、当社への理解をさらに深めていただけることを期待しています。

採用マーケティングで採用プロセスの効率化、応募者増に

 こうした取り組みを続けて、2018年1月現在で4ヵ月が経過しました。まず定量的な効果としては、(1)採用活動の効率化、(2)直接応募の増大、という2つが見られています。

 (1)については、8月から数ヵ月間にわたって候補者へのナーチャリングを行ったところ、2019年1月は座談会へ8名の方が登録し、実際に7名の方が参加しました。さらには、参加していただいた方すべてが応募につながりました。応募していただいた方はスコアリングを全員が順調に伸ばしており、応募へのニーズが熟した時点で当社の採用試験を受けていただいた形となります。

 (2)については、それまでほとんどなかった直接応募の人数が大幅に増え、その中から実際に採用につながりました。ターゲット層に適切な情報を発信できたおかげで、応募から採用まで効率的に進められたと考えられます。

 コスト感としては、この採用マーケティングで求める人材を2〜3名採用できれば十分にペイできると考えています。転職エージェントを通じて人材を採用する場合、当然ながら優秀な人材であることは保証されていますが、その分やはりコストがかかりますし、必ずしも当社に関する理解や共感度が高いわけではありません。採用マーケティングのアプローチであれば、当社の事業や製品、企業理念を事前に共有し、求める人材像も理解していただいた上で応募する候補者を集められるので、その点では効率的に欲しい人材を採用できます。

 とはいえ、当社では転職エージェントを通じた採用活動も行っていますし、紹介によるリファラル採用も展開しています。採用要件によってチャネルを使い分けることで、企業戦略に合わせた人材採用が可能になります。採用マーケティングは、通年採用が普及してきた今日において、転職エージェントやリファラル採用とは異なる第三のチャネルとして存在感を発揮します。

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採用マーケティングの進め方

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/25 13:15 https://markezine.jp/article/detail/30619

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