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「事業規模の大小問わず、ブランディングは持続的な成長を生む武器」ブランド戦略の達人山口氏が伝授

目的は同じ 時間軸とアプローチが異なるブランディングとセールス

 山口氏の基調講演で最後に語られたのが「ブランドとセールスの関係性」だ。売上をつくり、売上アップをめざすという目的は同じだが時間軸とアプローチが異なる点がポイントと山口氏は言う。

 「セールス施策は、月次や期次など決められた期間中にユーザーに購入していただくという制約がありますから当然、アプローチも違ってきます。ブランド施策が中・長期的な視野で、ときには間接的かつ長期的な効果をねらうのに対して、セールス施策の場合は期間限定や数量限定、特典や割引など緊急性や優先性を強調するアプローチが求められます」(山口氏)

 ここで紹介されたのがユニクロのアプローチだ。テレビCMでは魅力的なタレントやモデルを使ったイメージ優先のアプローチでブランド知覚価値を形成することに特化しているのに対して、新聞の折り込みチラシやECサイトへの誘導メールでは、期間や数量限定のセール品が大きなサイズの金額表記と共に表示されている。

 「とても同じ企業、同じブランドとは思えないほどアプローチが異なります。それでもブランドとしての地位を確立している点に注目していただきたいと思います。つまり、ブランディングで一貫性を保った施策が実現できていれば、セールスで多少は販売促進のために煽る要素があっても、ブランドを毀損しないケースの1つです」(山口氏)

 ブランド施策とセールス施策との決定的な違いもここにある。ブランディング、ブランド戦略の目的は、ターゲット顧客へ知覚価値を浸透させコンバージョンを高めること。さらにコンバージョンとLTV(顧客生涯価値)をともに高めていく施策こそが、企業とビジネスとを成長させていくカギになるという。

コンバージョンとLTVを高めるブランディングが持続的成長を生み出す

 基調講演の締めくくりとして山口氏は、一貫性のあるブランド施策でコンバージョンとLTVを高めることが、企業とビジネスの持続的成長につながるポジティブなスパイラルが生み出せると語った。

 「ここまで話した内容を踏まえて、企業の商品・サービスとブランド施策とユーザーが知覚していることとの間には少なからずギャップがあることを理解していただけたと思います。

 このギャップを埋めて、ユーザーから選ばれるブランドとしての価値を高めるためには正しく伝えるのではなくて、わかりやすく伝えていく施策が必要というのが大きなポイントです。

 先ほども触れたようにマス媒体を使ったテレビCMなどだけが効果的なのではなく、事業に適した規模で一貫性のあるブランド施策を手がけることで顧客を獲得するコスト=CPAの低減とLTVのアップが実現できます。このことが売上・収益のアップをもたらして、さらなる成長への再投資というスパイラルを生み出すことにつながります。

 このポジティブスパイラルを実現するためには、設定したKPIを見える化=視覚化してつねに確認できるようにしておくことも大切です。よく売上や収益が“踊り場”で成長への突破口が見えないという課題を聞きます。

 その原因の1つが、セールス施策とブランド施策のバランスです。セールス施策ばかりに注力していると効率が下がりますし、ブランド施策ばかりでは特定の顧客層ばかりにとどまってしまいます。

 両方に力を入れていても、連携不足ではROIの低下を招きかねません。ここで思い出していただきたいのが、先に紹介したブランド力は3つの要素の“かけ算”で高まるという考え方です。実は企業とビジネスの成長を左右する要素も“かけ算”です」(山口氏)

 最後に山口氏は次のような言葉で基調講演のまとめとした。

 「企業とビジネス成長の要素で重要なのは、それぞれの要素が“かけ算”で効いてくるということです。つまり、どれか1つでも極端に弱いと成長のためのパフォーマンスが落ちてしまいます。ブランド力を高めることは事業規模の大小、BtoC・BtoB関わらず有効です。ブランド戦略とセールス戦略の策定と一貫性を意識することは、どの企業にとっても今すぐ実行可能な施策の1つです。ぜひ、試していただきたいと思います」

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/30658

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